第4話 笹海(さざめ)


ピンポン!ピンポンピンポンピンポン!


「はいはいはいはい!」


「祭里遅い!」


「来花が早すぎんだよ!」


「私にたてつく気?」


いつもの朝。


登校の際は来花が祭里の家に寄ってから2人で行く事になっている。


2人が歩いていると、後ろから声がした。


「よっ、お二人さん!今日も熱いね!」


「笹海!」


「笹海だ!おはよー!」


同じクラスメイトの笹海(さざめ)と言う男の子だった。


「そういや笹海、これ頼まれてた紐通し」


「サンキュー祭里!」


「紐通し?」


来花が首を傾げると、笹海は思い出したかのように笑い出した。


「そういや紐通しで祭里の面白ばなし思い出したわ」


「なになに、気になる!」


興味津々の来花。


「ちょ、その話は!」


「聞かせて聞かせてー!」


来花がそう言うと笹海が話し始めた。


「あんな、前に祭里が体育館シューズの紐が切れて紐通し使ったんだって。んで、そのまま置いといたら次の日母ちゃんが林檎に紐通し刺してたんだってさ!ウケねぇ?」


「何その話!私聞いてないんだけど!」


「だって普通紐通しを果物に刺す親なんかいるか?恥ずかしいだろ!」


「それはそのまま置いとく祭里が悪い!」


「なんで!?」


「俺も来花に賛同だな!祭里が悪い」


2人して祭里を弄る。


そんな祭里は疲れきった様子でこう零した。


「だって俺ん家に果物刺すピックなんてないんだから気付くだろ…」


「「でも祭里が悪い」」


「俺に味方はいないのか…」


「よし、祭里は今日からうっかりさんって呼ぼう!」


笑いながら言う笹海に来花は。


「え?祭里は最初からうっかりさんだよ?」


「あ、それもそうか!」


「もう何とでも言ってくれ…」


この2人の言葉につっこむ気力もない祭里。


このまま報われない日が続くのか?



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いつまで経っても反抗期 萱草真詩雫 @soya

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