vs魔王アリサ15
悩んだ末に俺は――現状の膠着状態を打破する一手を投じることにした。
未来の選択肢は狭まるが……そこは未来の俺が何とかしてくれるだろう。『あの時の自分を殴りてぇ!』とか言うかも知れないが……何とかなるだろう。
俺はクロエたちを蹴散らす圧倒的な強者である魔王アリサの姿を思い出す。
イケるよな? ってか、それ以外に策はないよな?
現状の膠着状態を打破する一手、それは――BPの振り分けであった。
現状のステータスは……
名前:シオン
適正:カオス
種族:魔王(吸血種)
LV:9
CP:3600
肉体:C(D)
魔力:C(D)
知識:E
創造:B
錬成:B
BP:22
BPを割り振れば……肉体と魔力をC(D)→B(C)へと成長。更には、肉体か魔力のどちらか一方のみになるがB(C)→A(B)へと成長させることが可能となる。
魔王アリサのステータスは、推定となるが肉体C、魔力B、知識?、創造B、錬成Bだ。
ならば、俺もステータスを上げれば……あの強さを超えられるはずだ。
ハァ……。BP50まで貯めたかった……。
俺はため息を吐きながら、スマートフォンを操作する。
C(D)→B(C)へと成長させる為に必要なBPは5だ。BP5を獲得する為には、レベルを1成長させる必要がある。つまり、肉体と魔力をC(D)→B(C)へと成長させると言うことは、BPが50貯まるレベルが15→17へと遠ざかったことを意味する。
名前:シオン
適正:カオス
種族:魔王(吸血種)
LV:9
CP:4300
肉体:B(C)
魔力:B(C)
知識:E
創造:B
錬成:B
BP:12
これで、魔力は魔王アリサと同ランクになり、肉体のランクは魔王アリサを上回った。
しかし、不安はまだ残る。今回作戦において、チップは俺の命だ。念には念を入れる必要がある。
成長させられるのは、肉体か魔力のどちらか一方のみ。
俺は万が一の時の、逃走するための敏捷性。そして、耐久性を重要視して肉体を成長させることにした。
B(C)→A(B)へと成長させる為に必要なBPは10だ。BP10を獲得する為には、レベルを2成長させる必要がある。つまり、肉体をB(C)→A(B)へと成長させると言うことは、BPが50貯まるレベルが17→19へと遠ざかったことを意味する。
どんどん遠のくな……。
俺はため息を吐きながら、スマートフォンを操作して肉体へとBPを割り振る。
――!?
は? え? ちょ、待てよ……。
俺は画面に映し出されたステータスを見て、狼狽する。
名前:シオン
適正:カオス
種族:魔王(吸血種)
LV:9
CP:4300
肉体:B(B)
魔力:B(C)
知識:E
創造:B
錬成:B
BP:2
特殊能力:魔王
吸血鬼
槍技(C)
→一閃突き
→五月雨突き
支配領域創造
分割
転移(B)
配下創造
乱数創造
アイテム錬成
闇の帳
ダークアロー
ダークインダクション
ミストセパレーション
ダークストーム
ダークナイトテンペスト(NEW)
アブソープ(NEW)
→言語 (人種)
→鞭技 (C)
→スネークバインド
→氷魔法(中級)
→闇魔法(中級)
血の杯
何で、肉体のランクがBのままなんだよ!
BPを振る前よりも、身体は軽く、力は増したと、体感出来る。しかし、ランクが上がった時ほどの高揚感は得られない。
は? マジでふざけるなよ! BP10もぶっ込んだんだぞ!
BP10を振った効果は0ではないが、期待したほど得られなかった効果に、俺はやり場の無い怒りを覚えるのであった。
「カノン!」
「はい? って、何を怒っているのですかぁ?」
俺は取りあえず検索ツール兼取扱説明書のカノンを呼び寄せる。
「BPを振ったのにランクが成長しない!」
「え? BPを振ったのですかぁ?」
カノンに言っても無意味と分かりながらも、怒声を上げる。
「魔力にBPを5。肉体にBP15振った!」
「おぉ……。って、貯めていたBPをほとんど放出じゃないですかぁ」
「なのに、肉体がAランクにならなかったぞ!!」
「……え? それを私に言われてもぉ……。恐らく、吸血鬼の種族特性って太陽の陽を浴びない環境であれば、肉体と魔力のランクアップですけど……マスクデータと言いますか……上昇する数値に上限があると言うか……B→Aになるには、それ相応のBPが必要なんじゃないですかぁ?」
「相応のBPって幾つだよ!」
「知らないですよぉ……。知識がAランクに成長すれば分かるかも知れませんが……私の知識はまだBランクですよぉ」
「チッ!」
「――な!?」
カノンに文句を言っても、何も解決はしない。俺は軽く舌打ちをした後に、大きく深呼吸をして……抱えた怒りの解消を試みる。
結果として、怒りは解消されなかったが……ここで怒っていても時間を無駄にするだけだ。俺は次なる行動へと移ることにした。
「クロエ!」
「……は、はい!」
俺は最近元気のないクロエを呼び寄せる。クロエは意気消沈しているが、俺の命令には従順だ。
「模擬戦を頼んでもいいか?」
「模擬戦でしょうか……? マスターの恩命、喜んで。相手は……?」
「模擬戦の相手は俺だ」
「――!?」
「俺と模擬戦をして、魔王アリサと俺……どっちが強いか教えてくれ」
「しかし、模擬戦をするまでもなく、優れているのはマスター――」
「実直に答えろよ? つまらない世辞は不要だ」
「か、畏まりました!」
俺は成長したステータスを実際に魔王アリサと戦ったクロエで試すことにした。
とは言え、クロエだと判断基準に不安が残るな……。
「ブルー! ノワール! ルージュ!」
「何すか?」
「旦那、お呼びで?」
「何でしょうか?」
俺は、強さの判断基準を見極める要員として、3人を呼び寄せる。
「今から、俺はクロエと模擬戦をする。3人は、俺と魔王アリサ……どっちが強いかを判断してくれ」
「了解っす」
「わかりやした!」
「承知しました!」
3人は俺の指示に勢いよく返事をする。
後は、カノンにも一応頼んでおくか。
こうして、俺は眷属であるクロエ=シオンとの模擬戦を開始するのであった。
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