第14話 GW(4)

 今日は火の元の国へ行く日だ。

 今度こそは・・・何もありませんように!

 

 僕はシュバルツカッツェの中で祈る。

 ・・・誰に祈ってるんだろう?

 やっぱりジードかな?

 

 ジードじゃ面白がって祈りを聞いてくれなさそうだ。

 やっぱなし!

 でも、そうするとどうしよう・・・

 創造神様・・・駄目だ。

 もっと面白がる未来しか見えない!!


 ・・・いるかどうかわからない、僕に優しい神様に祈っておこう。

 どうか僕に優しい神様が居ますように・・・あれ?願い事変わってる?


 まあ、それはさておき、ここは既に火の元の国の中だ。

 父さん達はキョロキョロとしている。


「ここは江戸時代位の日本のようだな・・・」

「所々、この世界独自のファッションがあって面白いわね。」


 父さんと母さんは文化的な物を、


「ふむ・・・中々の名刀だな・・・一本購入出来ないだろうか・・・」

「あら、本当ね。私も欲しいわ。」


 士元さんとすみれさんは刀に興味があるようだ。

 でも、今からお城に行くのに武器は良くない。

 士元さん達に、後でお土産を買う時間を作ることを約束し、お城へ向かう。

 お城には、ツカサさんとマサオミが待っていた。


「ようこそ参られた。」

「久しぶりマサオミ。」

「ああ、リョウマ、友に無事に会えて嬉しい。」


 マサオミとの再開を喜んでいると、後ろから、


「・・・珍しい。男性の友人だ。」

「そうね・・・いや待って!実はああ見えて女性とか!?」

「流石にそれは実花さんの考え過ぎではないかね?かなり出来るようだが・・・」

「あなた、こうは考えられないかしら。実は男性同士の恋も・・・」

「なるほど!流石すみれさんね!」

「いやいや、実花。それはちょっと親として受け入れられないよ。」


 そんな声が聞こえて来た。

 無茶苦茶だ・・・

 マサオミが呆れたように言った。


「リョウマ・・・お前何やったらそんなに信用無くすのだ?」

「・・・僕が聞きたいよ・・・」


 両親ズに誤解だと説明してから、天守閣に向かう。

 そこには、ツカサさんが待っていた。


「おお!リョウマよ!無事に会えて何よりだ!リョウマの親御殿、オウカ殿の親御殿、お初にお目にかかり申す。儂は火の本の国の王であるツカサ・カドタニである。以後お見知りおきを。」

「これはご丁寧に。私は龍馬の父で三上明良と言います。よろしくお願いします。」

「同じく妻の実花です。」

「桜花の父の廻里士元と申します。」

「同じく、母のすみれです。」

「こちらこそご丁寧に。」


 ここは、余計な茶々が入らなかったから、比較的に穏便に終わりました。


「リョウマよ。この後、観光か?」

「うん。そのつもりですよ。」

「ならば、グレイガルム殿の所に行かぬか?」

「ああ、なるほど。ここからですね・・・うん!行きましょう!」


 こうして、みんなで、城からグレイガルムさんのねぐらに移動した。

 ねぐらには大きな竜が寝ていた。

 グレイガルムさんだ。


 両親ズは、その大きさに圧倒されている。


「お父様!」

「・・・んん?今、エスメラルダの声がしたような・・・」

「ただいま帰りましたわ!」

「やはり・・・おお!久しぶりであるな!リョウマもその仲間達も息災そうで何よりだ。ツカサもおるのか?ん?見慣れぬ者もおるな。」

「僕の両親と、桜花の両親です。」

「おお!そうであったか!リョウマのご両親、オウカのご両親、娘のエスメラルダが世話になっておる。今後ともよろしく頼むぞ。」

「は、は、はい・・・」

「ん?どうした?何故固まっておる?」

「お父様!向こうの世界に竜はいません!人型になって下さいまし!」

「おお、そうであったか!これは失礼!」


 グレイガルムさんが人型になり、みんなで談笑した。

 一頻り話をした後、ねぐらを後にし、ツカサさんの城から出て、観光へ。


 父さん達には服や雑貨を、士元さんやすみれさんには刀を購入して上げた。

 みんな大喜びしていたよ。


 は〜・・・やっと心穏やかに観光できた!と思っていたら、


「お前の女性関係では驚かなかったが、いきなり空想上の生物がいる所に連れて行かれてこっちはヘトヘトだ!さきに言っておけ!」


と、父さん達には怒られちゃった。

 すんなり行かないねぇ・・・

 

 僕、この旅行に来てから呆れられるか怒られるかしかしてない気がする・・・本当になんで企画しちゃったんだろう・・・


 やっちゃったなぁ・・・

 ・・・まっいっか!

 今から慣れておいてもらおうっと!


 ・・・どうせ今後もこんな感じだろうし。

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