第8話 波乱の春休み(5)
不思議な女の子を助けた後、僕は自宅に帰り、今日あった事を桜花に電話で話した。
『・・・状況的に仕方が無いとは言え、あんた本当に女の子と縁があるわよね。その子もどうせ可愛かったんでしょ?』
「やめてよ。僕はロリコンじゃないよ・・・可愛かったけどさ。」
『はぁ〜・・・まったく。頭を悩ませる事ばかりだわ。今日ね、友達と遊んでいたら、たまたま葛城さんに会ったのよ。』
「えっ!?大丈夫だったの葛城さんは!?」
僕が驚いて思わずそう言うと、桜花からプレッシャーを感じた。
何!?
スキル使ってるの!?
僕が息を飲んでいると、桜花がまた話しはじめた。
『・・・どういう意味かは後で問いただすとして、葛城さん、いきなり私に謝って来たのよ。』
えっ!?
葛城さんが!?
「・・・なんで?」
『詳しくは言えないわ。それは私から話して良いことじゃないし。で、これからは仲良くしたいってさ。』
「ふ〜ん?」
二人共、あんまり仲良くなさそうだったのに、なんでかな?
でも、仲良くなってくれるなら、それに越した事はないか。
それに、葛城さんは本当に良い子だからね。
僕も二人が仲良くしていると嬉しいな。
「良かったじゃん。」
『・・・手放しで喜べないのよね。彼女の目的も合わせて聞いちゃったし・・・くっ!!他人事みたいにしているあなたがムカつく!!』
「なんで!?」
なんて理不尽なんだ・・・
僕はただ、二人の仲が今の険悪な感じじゃなくなれば良いと願っているだけなのに・・・
『あなたのせいで、心労が耐えないって事よ!』
「むちゃくちゃだ・・・」
『うるさい!・・・それよりも、次の学年で一緒になれると良いわね。』
「そうだね。」
それは僕も思ってることだ。
『そういえば進路はどうしたの?悩んでたでしょう?』
「うん・・・と言っても、大学進学は変わらないよ。親に負担かけないように、国公立には行くつもりだけど。」
『国公立・・・すると名大かしら?』
「うん、そう。桜花はどうするの?」
『決まってるじゃない。あなたが名大なら、私も名大よ。』
「あれ?先生から、東大目指せって言われて無かったっけ?」
『・・・あなた、私から離れたいの?』
「いや、そういうわけじゃないんだけど・・・でも、僕が理由で進路を決めるのはちょっと・・・」
『良いのよ別に。私の最終進路はあなたのお嫁さんだもの。だから、あなたから離れたら無意味でしょう?』
なんて可愛い事言ってくれるんだ!
僕の彼女が可愛い件について!!
「・・・ありがとう。そう言ってくれるのは素直に嬉しい。」
『はいはい。』
「もう3年生か〜。早いね。」
『そうね・・・早いわね・・・』
「2年生は本当に色々あったな・・・これからもよろしくね?」
『言われなくてもよろしくするわよ・・・みんなと一緒に、ね。』
「あはは。そうだね!」
僕は桜花と話しながら、今までの事を思い返した。
でも、こうして見ると、次元穴に飲み込まれたのは、結果良かったとも言えるかもしれない。
勿論、今になったから言えることだけどさ。
最初の頃はただただ呪ってたからなぁ・・・
前向きには考えるようにしていたけどさ。
でも、結果として見れば本当に悪くない。
僕たちは、これから何があっても生き延びていける力を得た。
かけがえのない仲間も出来た・・・みんなお偉いさんだったり、要職についていたりはするけど。
一生を共にするだろう大事な人達も出来た。
僕たちはこれからも、理不尽にさらされる時が来るのかもしれない。
その時は、全力で抗って、また理不尽を乗り越えて行くのだろう。
そして、誰かがもし、理不尽にさらされていたら・・・目の届く範囲で助けてあげよう。
僕はそう心に決めたのだった。
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これで春休み編は終了です。
今後は、週1くらいで更新しようと思います。
・・・あくまで予定ですが。
明日からは新作を始めます。よろしければどうぞ。
題名は、「異能が全てを変えた日」です。
追伸
どうも、完結表示にすると、追加更新が出来なくなるようです。
ですので、アフターストーリーだけ、別にするかもしれません。今考え中で、来週の更新の時には答えを出そうと思います。
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