第344話 婚約者達(2)
「どうか龍馬さんを責めないで下さい。悪いのは、私達なのです。」
「リディア達だけじゃないわ。私もよ。」
二人の言葉に困惑する両親ズ。
「とりあえず、中に入りましょう。詳しくお話します。」
「そうしましょう。お父さん、お母さん、どうか誤解しないできちんと聞いてほしい。」
居間に向かう事になった僕たち。
ルーさん達が、飲み物を準備してくれていたので、そのまま椅子に座り、話が始まった。
まずは、リディア達からだ。
リディア達は、それぞれの僕との出会いと、何があったのかを詳しく話した。
それを聞く両親ズの表情はコロコロ変わった。
痛ましい表情をする時もあれば、怒りをの表情をしたり、ホッとする時もあった。
真剣に聞いてくれているのはわかる。
特に、セレスの話では、セレスが神様的な立場にいたという事を知り、凄く驚いていた。
「・・・と、言うわけで、リョウマさんは、当初私達の気持ちを受け入れてくれませんでした。」
「だが、我々は諦められなかった。だから押しかけたのです。」
「この人しかいないと思いました。そして、なんとか振り向いて貰おうと努力しました。」
リディア、グレイス、シエイラが語る。
「リョウマの世界が、夫と奥さんの一対一だってのは聞いてる。でも、あたしはリョウマ以外嫌だった。」
「メイもです。リョウマお兄ちゃんに命を救われた時に、つがいになりたいって決めてました。」
「私も同じよ。エルフ族も貴方方と同じく、基本一夫一妻なの。でも、みんなとなら上手くやっていけそうな気がしたわ。だからついていったの。」
「わたくし達竜種も同じです。一組のつがいが普通ですわ。でも、リョウマ様を想う方々は、皆さんとても良い方ばかりでした。だから、家族になれると思いましたの。」
同じ様に、アイシャ、メイちゃん、エルマ、エスメラルダもわかって欲しいとという強い思いが感じられる。
「私は・・・私の国は、全世界に対してとても非道な事をした国です。私は、そこの姫でした。しかし、それも、リョウマさんに叩き潰され、オウカと共に助け出された。オウカがリョウマさんの恋人とは知っていましたが・・・この想いを止められなかった。そして、オウカもみんなも受け入れてくれました。家族を無くした私を家族にしてくれたのです。」
「私は・・・管理者・・・先程申し上げた通り、あなた方の考える、神という立場にいました。管理者は恋愛という感情を知りません。これでも、私はみなさんの数百倍の年齢を重ねています。そんな私が初めて知った恋・・・それが龍馬さんでした。気づかせてくれたのは桜花さんやみなさんです。そして、それが愛に変わるのはそんなに時間がかかりませんでした。でも、みなさんは、そんな私を受け入れてくれました。とても・・・とてもうれしかったのです。」
レーナは縋るように、セレスは少し嬉しそうに、
「私は、先程申し上げた通り、使用人としての矜持があります。しかし、ご主人・・・リョウマくんを愛してもおります。ですから、妻としての立場ではなく、使用人として、生活を支え、また、女としても愛して貰いたいと思いました。それが、今の関係です。婚約者としての立場を拒否したのは、ひとえに私の我儘なのです。」
「私もルーさんと同じです。レーナ姫に仕えた私をレーナ様ごと受け入れて頂いたリョウマ様には、感謝の念が耐えませんし、また、愛してもおります。だからせめて、自分が誇りを持っている、使用人としての仕事で恩をお返ししたいですし、愛を受け取って頂きたいと思っています。今の関係は私が望んだ事なのです。」
ルーさんとアナさんは、恥じることなど無いと言わんばかりに語った。
「お父さん、お母さん。みんな戦友なの。みんな助け合って来たの。龍馬が暴走した時、痛みに耐えながら、恐怖を跳ね除けながら、みんなで止めたのよ!セレスはずっとこの世界に来てから、自分も封印されて辛かったのに見守ってくれてた!助けてくれた!!だから!私はみんなで生きていきたいの!!だって、私もみんなも龍馬を愛してるんだもん!!みんなでいなきゃ…幸せになれない!!」
「桜花・・・」
「・・・・・・」
桜花は涙を流しながら両親に訴えていた。
すみれさんも士元さんも、そんな桜花を見て真剣な表情をしている。
呟くように、すみれさんが桜花の名前を呼び、士元さんは腕を組んで目を閉じている。
みんなに言わせるだけじゃ駄目だ。僕も言わなきゃ!
「父さん、母さん、士元さん、すみれさん。普通の日本人の感性で、この状況を受け入れることは難しいと思います。確かに、最初、桜花と付き合っていた事もあって、僕はみんなの気持ちを受け入れませんでした。ですが、最後に決断したのは僕です。だから、
僕が頭を下げて謝罪すると、みんなも一斉に謝罪した。
それを見ていて、士元さんが、
「頭を上げて欲しい。」
と言った。
そして、
「日本には日本の、異世界には異世界の流儀があるのだろう。郷に入っては郷に従え。私には、他の文化を貶す了見は無い。君たちが心から納得しているのであれば、私から言うことは一つだ。」
士元さんはにこりと笑った。
「君たちの目は確かだな。龍馬くんは良い男だ!どうか幸せになって欲しい。家の娘を頼みます。」
そう言って頭を下げた。
「士元さん、良いのですか?」
父さんがそう言って士元さんを見る。
士元さんは苦笑いをしながら、
「仕方がありませんよ。本人たちの問題ですから。娘が幸せになるのに、この関係が必要だというのであれば、娘の幸せを願う親としては、受け入れるしかありません。普通なら上手く行くはずがないと思いますが・・・見て下さい。彼女らの目を。我々よりもずっと覚悟をして生きている目ですよ。」
そう言った。
父さんはみんなを見て困ったように笑いながら、
「まさか、息子が男の夢を叶えるとはなぁ・・・まぁ、父さんに言えることも一つだ。家長として、男として、大事な女性を泣かせるなよ!」
僕の背中を叩いた。
みんなは歓声をあげ、抱き合っている。
僕はそれよりもホッとしちゃったよ・・・
「にしても、本当に龍馬がここまでモテるとはね・・・驚いちゃった。」
「そうかしら?私は、初めて会った時に、モテるんだろうなと思っていましたよ?」
「えっ!?本当ですか?・・・我が息子ながらわかりませんね〜。」
母さんたちはそんな話をしている。
すると、桜花が、
「実花さん。それが、龍馬はまだ狙われているんですよ。ここにいるみんなと同じくらい可愛かったり、綺麗だったりする人達に。それも5人も。他にも、某国の元人妻な、絶世の美女と呼ばれる女王様や、そこにいるエルマのお母さんからもね。もっとも、龍馬は必死に逃げ回っていますけど。」
「あらまあ!!」
「あらあら・・・」
「みんな美女や美少女なんですよ。おかしいですよね。」
そういってクスクス笑う桜花。
まっっっっっったく笑えないんだけど!!
「なんかそこまで行くと・・・羨ましいより・・・」
「ああ、ただ女難の相があるんじゃないかね?」
父さんと、士元さんが同情するような目で見てきた。
士元さん。
僕もそう思います。
その後は、和気あいあいと食事会となった。
みんな、僕との思い出や、僕が言った言葉、最後の僕の戦闘映像をセレスが提供して、ひたすら僕が恥ずかしい思いをする事になりましたとさ。
うううう・・・
こうして、異世界を両親達に理解して貰って、僕たちは次の日、元の世界に帰るのだった。
みんな仲良く打ち解けられて良かった。
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次回、エピローグとなります。
長かった・・・
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