第324話 打ち上げ(2)

「まずは、黒猫会への新たな入会者、五剣姫であるカエラさん、オリビアさん、キリアさん、それにジード、シルヴァさん、マリオンさん、エルさん、フェオドーラさん、僕の新たな婚約者としてセレス、現教皇のレアルさん。ようこそ黒猫会へ!」


 みんな拍手で迎えてくれた。

 セレスは婚約者として紹介されたので、少し照れている。

 

「それではグラスを持って下さい。若輩者で僭越ですが、挨拶をさせて頂きます。無事、偽神ヴァリスの脅威を取り除く事ができました。これからはこの世界も良い方向に行くと信じています。それでは、乾杯!!」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


 そして宴は始まった。

 みんな笑顔で話しをしている。


 セレスに集まるレイチェルさん、イリーナさん、ケーラさん、ミリアンちゃんやアネモネさん、セルマさん。

 楽しく談笑している。


 桜花達に何やら愚痴っているガーベラ、カエラさん達五剣姫。


 ジードの所に集まるグレイガルムさん、エヴァンテスさん、シルヴァさん達。


 ディバイドさんは、ツカサさんやプラムさん、アルザードさん、ジラートさんと話している。


 どの人達にも笑顔が見える。

 こういうのを見ると、頑張った甲斐があったってものだね。


 僕が一人、壁際でニコニコしていると、ルーさんとアナが寄ってきた。


「ご主人様は皆様の所に行かれないのですか?」

「一人でいらっしゃったので来てしまいました。」

「うん?いやね、みんな笑顔だからさ。嬉しくなっちゃって、目に焼き付けようと思ったんだよ。頑張った甲斐があったなってさ。」

「・・・ご主人さまは・・・リョウマくんは頑張ったわ。」

「そうです。みなさん感謝していますよ。」

「ありがとう二人共。」


 そうやって口に出して言われると照れくさいな。

 でも、二人がそっと寄り添ってくれるのが嬉しい。

 こうやって、まったり過ごせるのもいいかな・・・


 しかし、そうは問屋が卸さなかった。


「あー!!リョウマがイチャイチャしてる!!二人だけズルい!!」


 ちっ!気づかれたか!!

 ガーベラがこっちを指差して叫んでいた。

 そしてわらわら寄って来る。


「ねぇねぇリョウマ!そろそろ私も加える気になった?ハーレムに。」

「ハーレムなんて作ってません。」

「師匠・・・流石にそれは通じませんよ?」

「ぐっ・・・」

「んっんっ!あ〜リョウマ殿!その・・・あくまでも参考に聞きたいのですが、選定基準はどのようなものなのですか?」

「いや・・・カエラさん?別に僕はハーレムを作ろうなんて思っていませんよ?」

「いや〜リョウマっち、その言い訳は苦しくない?」

「オリビアさん。別に言い訳じゃありませんから。」

「ん。私も参戦したい。」

「キリアさん!?何をおっしゃってるの!?」


 僕がタジタジになっていると、遠目に桜花達が苦笑しているのが見えた。

 もう!

 助けてくれてもいいじゃないか!!


 そして奴らが動き出す。


 がしっと両脇を抱えられた。

 右手にアネモネさん、左手にセルマさんだ。


「小娘達!今から、実技指導です!内容はどうすれば男を満足させられるか!!巫女頭である私と・・・」

「女王である、わたくしアネモネによる授業ですよ!心して受けなさい!!」

「待て待て待て待て!!あなた方は何をおっしゃってるんですか?」

「え?ナニを。」

「いやいやいやいや。そうじゃなくて。」

「はっきりと言うとセッ・・・」

「そうでもなくて!!」

「いいですかリョウマくん!英雄色を好むと言います。ですから、勇者であるあなたも色を好まなければいけません!その為にわたくしたちは一肌・・・そう脱ぐのです。」

「それ意味が違いますよね!?本当に脱いじゃ駄目じゃないですか!!てゆーか勇者じゃありません!僕は迷子です!」

「そう…迷子なのね。人生の。仕方がないから相談に乗ってあげるわね。エルフとしての長い人生経験と、母としての強さ、女としての観点までバッチリよ!さぁ生まれたままの姿になって全てをさらけ出しなさいな!迷子やなんやかんやから卒業しなさい!」

「誰が人生の迷子ですか!それに違う事を卒業させようとしてるでしょ!?」


 ギャースギャースとアネモネさんとセルマさんが言うけど、いつものようにガーベラ達が止めない。

 なんで!?


「・・・この際、既成事実もありかも・・・」

「そうだな。我々は出遅れている。セレス様まで高みへ行ってしまわれた今、なりふり構っていられない。」

「・・・」

「カエラ様、迷ってますね〜。」

「い、いえ!そんな事は・・・」

「正直、私は賛成。」

「キリア!?何を言って・・・」

「カエラ様!ここは一つ参加して見たら?女は度胸っす!!あ、私もご一緒しますよ?」

「オリビア!?・・・じゃ、じゃあ・・・私も・・・」


 みんあが僕の背中を押し始めた。

 ちょ!?どこに連れて行く気!?


「勿論・・・(ある意味)天国へ♡」


 耳に息を吹きかけながらアネモネさんが言った。


 へールプ!!

 誰か!!

 助けて!!

 食べられる!!

 食べつくされちゃう!!


 そうこうしていると、ため息をつきながら桜花達も来る。


「はいはい。駄目よ。私達ですらまだなんだから。私達ですら、ね。」


 ・・・なんで2回言ったんでしょうか。

 ちょっと目が怖いです。


 そうして、渋るアネモネさん達から引き離されたのでした。

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