第316話 VSヴァリス(5)

「よもや自分がこのような姿に堕ちる事になるとはな・・・しかし、それも良い。俺は貴様さえ・・・貴様とその仲間さえ殺せればそれで良い。元に戻るのはまた研究して戻れるだろう。」


 少し、落ち着きを取り戻したようだね。

 なら・・・


「何言ってるんだよ。しっかり神様の姿になったじゃないか。まぁ、神は神でも、魔神とか破壊神かもしれないけどね。お似合いじゃない?」

「・・・うるさい!!貴様の・・・貴様のせいだろうが!!」

「え〜?それこそ僕のせいじゃないでしょ。力も資格も無いくせに、管理者なんていう立場になって、セレス様を封印しちゃったのが悪いんじゃん。」

「うるさい!!」


 ふう。

 こいつ煽り耐性低いな〜。

 プライドだけ高い奴にありがちなやつだね。

 ちょっと落ち着いちゃったから、煽ってみたらすぐ冷静さを無くしてる。

 本当に創造神様は、なんでこんな奴管理者にしたのかね・・・


 まぁいいや。

 とにかく、こいつを倒すには、再生速度を越える攻撃を当て続けるか、一撃で消滅させられる攻撃を当てるかだけど・・・後者はちょっときついかな・・・


 とにかく、こいつを動けないようにしないと。


 僕は縮地で一気にヴァリスに近づく。

 ヴァリスはしっかりと僕を知覚出来ているようで、こちらを目で追っている。

 

「馬鹿め!『空間』を使えなくても貴様など!!」


 ヴァリスは空間を断つ爪を振るう。

 僕はストレージから刀を取り出し、魔力で覆った。

 

「はぁっ!!」


 受け止めた刀を覆う魔力と爪が干渉して、周囲に火花が散っている。

 よし!

 予想取りだ!


 コイツは多分、魔力・・・もしくは神力を使って、空間の断裂を生み出している。

 だったら同じ様に、魔力刀であれば断ち切られないと思ったんだ。

 と、言っても、かなり魔力を使うなこれ。

 

 だったら!!


 僕は刀を滑らして懐に飛び込む。

 ヴァリスは、もう片方の手で迎撃しようと腕を突き出して来る。

 

「廻里流剣術『流転』!!」


 ヴァリスのもう片方の手の爪を弾く。

 そしてそのまま自分の肩をヴァリスの腹に当てた。


「ふん!!」


 そのまま魔力で固めた足場に震脚。

 肩を起点に頸を流し込む。

 心意六合拳の心意把だ。

 要は体当たりなんだけどね。

 でも、たっぷりと頸を乗せてやった。


「ぐうっ!」


 ヴァリスは少し後ずさる。

 かなり防御力が上がっているね。

 まだまだ。


「廻里流剣術『巌崩いわおくずし』!」


 僕は刀を押し上げながらヴァリスのあごを打ちあげ、返す刀でそのまま頭を打ち付ける。


「がっ!おのれ!!」


 ヴァリスの鱗はそう簡単に切れるものでは無いらしい。

 実際、切れたのは皮一枚ならぬ鱗一枚だ。

 でも、衝撃は違う。

 しっかりとダメージを与えられているようで、頭を打たれたヴァリスの身体が少し鈍くなる。


「うっとうしい!吹き飛べ!!」

「ぐっ!?」


 ヴァリスが全身から衝撃波を出した。

 吹き飛ばされる!!


「そこだ!!」


 ヴァリスが手を向けると、そこには火球が生み出された。

 凄い熱量だ!!

 火球が放たれ僕に迫る。


「当たるか!!」


 僕は吹き飛ばされながらも強引に方向転換して、火球を躱した。

 

「お返しだ!!『極大地魔法メテオストライク』!!」


 そのまま頭上をとった僕は、巨大な隕石をヴァリスに放つ。

 ヴァリスは後方に下がり、隕石の勢いを殺しながら受け止めた。


「おおおおおおお!こんなもの!!」


 そしてそれをそのまま僕に投げつけてくる。

 なんて力だ!!

 そして今度は僕に隕石が迫る。


「はっ!!」


 僕はその隕石目掛けて崩拳を放った。

 隕石は砕け散った。

 さて、どう攻め・・・うわぁ!?


 隕石の影からヴァリスが近づいて来て、そのまま爪を奮ってきた。

 僕は躱し、避けきれないのは魔力刀で弾く。


 くそ!

 あの爪、反則だろ!!


「ははははっ!どうした!!」

「うるさい!!」


 しかし、実際どうしたものか・・・

 このまま持久戦になったら僕が不利だ。

 なんとかしないと・・・

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