第12章 この世界の為に

第299話 世界の崩壊

 突然空に亀裂が入る。

 この状況は世界中から目撃できた。


「な、なんだ!?」

「空が・・・割れている?」


 民衆はパニックになった。

 何故なら、このような状況は見たことも聞いたこともない。

 一ヶ月程前にあった教会のショッキングな事件もあり、神の怒りに触れ、世界が終わるのではないのかと、祈りを捧げ始める者もいた。


「王よ!始まりましたぞ!」


 セレスティア王国宰相プラムは王の居室に駆け込んだ。


「うむ。たった今、リョウマ達から連絡が入った。儂は出るぞ!プラム、後はお主が指揮をとれ!!」

「はっ!!」


 そうしてディバイド王は龍馬のホームに向かう。

 

 時を同じくして、ここはネモス小国。


「始まったわね。宰相。後は頼みます。予定通りに。」

「わかっております。女王もご武運を。」

「わたくしは演説をするだけですから。頑張るのはリョウマくん達や指揮をとるあなたですよ。」

「勿論です。しかし、それでも、女王様方の演説はとても大事でございますれば。」

「ええ、わかっています。それでは。」


 女王アネモネもまた、龍馬のホームへ出発した。


 ネメ共和国。


「さて、急いでリョウマくんのホームに行かなくては。」

「大統領!これは・・・」

「うん。先日言っておいた事が始まったようだ。」

「本当の事だったとは・・・」

「君も先日の教会の映像は見ただろう?あれが真実だ。」

「・・・」

「という訳で、僕は出かける。後は頼んだよ、副大統領。」

「わかりました。こちらはお任せ下さい。」


 ネメ共和国大統領セルヴァンはそう言ってその場を離れた。


 

「ツカサ様!」

「うむ、今リョウマ達から連絡があった。儂はすぐさまグレイガルム殿の所に向かい、そのままリョウマの所に行く。マサオミわかっておるな?」

「勿論です。お任せ下さい。」

「さて・・・世界の命運はどう転ぶのか・・・だが、あやつらならば・・・」

「ええ・・・リョウマ達なら・・・」


 竜のねぐらにおいても同じであった。


『グレイガルム様。空が・・・空が割れました!!』

『どうやら、ヴァリスめが始めよったわ。儂はツカサが来次第リョウマのホームに向かう。お主らは、不足の事態に努めよ。よいな?』

『わかりました!』

「グレイガルム殿!!」

『おう、ツカサか!しばし待て。』

「どうやら始まりましたな。」


 人化したグレイガルムに向かいそうツカサ王が言った。


「そのようだ。さて、これより始まるは神を相手取る戦争よ。気合を入れねばな!以前はしてやられたが今回はそうは行かぬ!」

「そうですな。リョウマなら・・・」

「ああ、リョウマなら・・・さて、我らも向かうとしようか。」

「うむ」!


 火の国の王ツカサと王竜グレイガルムもまた、龍馬のホームへ向かった。


「長老様!」

「セルマよ。どうやら始まったようじゃ。前回はヴァリスにいいようにやられた。じゃが今回はリョウマ殿がおる!きっと勝利を掴んでくれるじゃろう。」

「ええ、私の可愛い娘の旦那様なんですもの!」

「まだ婚約者じゃろう?」

「ふふふ・・・私の中ではもう娘婿ですよ!あんな良い男の子逃がすものですか!」

「かかか!流石は巫女頭じゃ!お主が旦那を捕まえた時と変わっておらぬな!」

「勿論ですよ。私は一度捕まえたら絶対離しませんよ!」

「それでよい。それでは儂はリョウマ殿達の所へ行く。」

「はい。後は任せて下さい。」


 エルフの族長エヴァンテスはそう言って集落を後にした。


 

 各国から首脳陣が集まった龍馬のホーム。

 そこには、現教皇であるレアルもいた。

 セレスが、教会の力も必要だと考え、転移で連れてきていたのだ。


「セレス様から招集がかかり伺いました。現教皇のレアルと申します。教会が色々ご迷惑をかけました事お詫び致します。」


 深々と頭を下げるレアル。

 

「レアル殿、今はそのような些事はおいておこうぞ。ここには貴方を咎めるものはおらぬよ。悪いのはヴァリスであり、以前の教皇じゃ。貴方では無い。」

「そうですね。むしろ、貴方のような高潔な方が教会を率いて下さるのであれば、それは世界にとって大きな力になります。これからよろしくお願い致します。


 ディバイド王と女王アネモネがそう言ってレアルを気遣う。


「挨拶は後にしよう。セレス殿準備はよろしいか?」

「ええ、グレイガルムくん。ヴァリスの企みを潰しましょう。ルーさん、お願いします。」


 ルーは頷いて、魔道具を起動させる。


 同時刻、空に巨大な複数の人影が浮かぶ。

 民衆は皆、空を見上げた。

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