閑話 独白(3) sideセレス
教会との直接対決となりました。
私が愛した教会は、今や見る影もありません。
欲に塗れ、他者を貶めようとする者が幹部の大半で、その最たる者は、教皇たる異世界人でした。
黒瀬と名乗る者は、元々この世界に次元穴で迷い込んだ者でした。
それを、言葉匠にヴァリスが利用したのです。
彼の心の中は、欲望と虚栄心、龍馬さんへの復讐心に塗れていました。
彼の非道は、信者のみならず、様々な者に及びました。
正直、言葉に表すことすらしたくありません。
人を人とも思わぬ所業・・・とても龍馬さんや桜花と同じ世界の人間とは思えませんね。
彼の復讐は、イレギュラー足る龍馬さんに、大半を潰されてしまいました。
いい気味です。
口を開けば開くほど、薄っぺらな人格が顔を出します。
正直、いくら神託(偽)による結果だからと言えど、教皇として立てていたのが不思議でなりません。
実際に、糾弾しようとしたものは、前教皇を含めて、全て殺されてしましました。
彼に迎合するのは、彼の息のかかった、欲深き者たちだけ。
人が傷つこうが、苦しもうが、自分でなければ関係ないと思っているものだけです。
メイさんが苦しんだように、今も尚、教会の企みによる呪いは、信者の一定数を占めているのですから。
そんな彼も、龍馬さんに追い詰められていました。
復讐心から努力もしたようですが、ヴァリスからの改造等という力を与えられた彼に、信念を持って努力し己を鍛え上げてきた龍馬さんには、到底叶いません。
最後には、企みと、その下賤な思考のすべてを、世界中の人々に知られてしまいました。
追い詰められた彼は、ヴァリスに更に力を注ぎ込まれ、人を捨ててしまいました。
魔獣となった彼は龍馬さんに勝るものでした。
そんな彼に追い込まれた龍馬さんを見て、残り僅かな神力を使い、神託を下しました。
どうか気づいて!!
彼は、私の期待通りに、ジードくんの肉体の封印球・・・彼らは黒水晶と呼んでいましたが、それを回収しました。
その甲斐もあり、龍馬さんは全力を出せるようになりました。
全力を出した龍馬さんは、魔獣となった教皇を圧倒しました。
その結果、教皇は龍馬さんに断罪されました。
自らが殺し、虐げてきた人々の魂に害されるという、とても彼の処断にふさわしいものでした。
最後には、自ら死を願う事で救いを求める形となりましたが、因果応報とはあの事なのでしょう。
彼にはふさわしい末路だったのかもしれません。
そして、ヴァリスとの邂逅。
彼は何も変わっていませんでした。
自らが手掛けた教皇を、実験動物と言い放ち、世界を消し去り、作り変えようとしています。
私は、改めて後悔しました。
やはり、全ての始まりは、私の判断にあったと。
しかし、泣き言ばかりは言っていられません。
どうにか止めなくては・・・
チャンスはやって来ました。
敬虔な信者であり、人格者でもあるレアルが、私が封印されている所まで、龍馬さん達を連れてきてくれたのです。
そして、封印を解いてくれました。
ジードくんも復活し、彼の奥様達も現界しました。
反撃の体勢を整える事になりました。
その中で、とても嬉しい事がありました。
お風呂にみなさんで入った時に、桜花さん達に、私が龍馬さんに恋をしている事を突きつけられた時の事です。
女性として生きる喜びを知れと発破を掛けられました。
そして、もし私が望むのであれば、私を受け入れてくれる、そんな想いが読み取れました。
私は、生まれ
しかし、それも、龍馬さんと腕を組み、みなさんで他愛もない話をしながら、褒められたり、少し性的な思考を読んでしまったりして照れてしまったりと、楽しく過ごしていると、もっと一緒にいたいという気持ちが溢れて止められなくなってしまいました。
私は・・・私は龍馬さんやみなさんと、これからも一緒にいたい・・・
そんな気持ちが心の奥底にあるのに気づきました。
「答えは出たかしら?」
桜花さんが、とても優しい表情で私を見ていました。
どうやら全て見透かされていたようです。
私は決意しました。
この世界を救い、その後は・・・女性として生きると。
これで私の独白は終わります。
この世界の外にいて、私達が生きて紡ぐ物語を見ている方々。
どうか、私達の生き様を最後まで見届けて下さい。
私はセレス。
今はこの世界の管理者であり・・・いずれ一人の男性を愛する、普通の女性となる者です。
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これで、11章閑話も終了です。
次章はいよいよヴァリスとの決戦です。
予定では最終章です。
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