第286話 青い水晶の正体
僕たちは、祭壇から青い水晶を取り出した。
すると、大聖堂を覆っていた結界が消えたのがわかった。
そのまま外に出ると、丁度鐘が鳴り、少しづつ人々が集まってくる。
説明はレアルさんに任せて、僕は今、座禅をしながら瞑想して魔力を高めている。
リディア達は、各国の王様に連絡を取り、状況を説明している所だ。
僕が見た所、この封印はかなり強固だ。
実際、僕一人ではきついと思う。
という訳で、目の前には同じように瞑想した桜花がいる。
桜花は僕と違って正座しており、その膝の上には聖剣を具現化していた。
聖剣はセレス様から貰った力。
きっと封印解除の力になってくれる。
だって、僕の予想ではこの青い水晶はおそらく・・・
説明を終えたレアルさんとリディア達が、集まってきた。
さあ、始めよう。
「桜花、準備は良い?」
「ええ。」
「じゃあ、僕が魔力で無理やり封印の壁に穴を開けるから、桜花は魔力を聖剣で増幅しながら、その中に注ぎ込んで。この水晶から出る力は静謐なものだから、注ぎ込む魔力は、清浄なものである必要がある。とにかく、救いたい、助けたい、という想いが大事だ。いいね?」
「わかったわ。」
「始めるよ。」
僕は魔力を流し込む。
封印はやはり強固で、中々穴をあけられない。
でも、今の状況をなんとかするには、この中にいるであろう存在の力が必要だ。
僕は更に魔力を高める。
額からは汗が流れ、息も苦しくなってくる。
でも、諦めるわけにはいかない!!
どれくらいたったかは分からないでも・・・緩んできたな!
それから少しした時、ピシっという音がした。
開いた!!
「桜花!」
「わかってる!」
桜花が魔力をそそぐ。
どんどん水晶に吸い込まれているのがわかる。
桜花の魔力が枯渇するのが先か、封印が解けるのが先か・・・
桜花の顔色が、悪くなってきた。
きびしいか!?
すると、その時、桜花の背中に手を当てる者達がいた。
リディア達だ。
「オウカ、みんなの魔力を貴方に渡します。頑張って!」
「ありがとう!」
そこからは総力戦だった。
魔力の少ない人から手を離していく。
今残っているのは、リディアとエスメラルダ、レーナだけだ。
桜花を含め、みんなつらそうだ。
頑張って!
三人も手を離し、後は桜花だけ。
苦しそうだ。
桜花の身体が一瞬ふらついた。
駄目か!?
しかし、その時、深い青色に色を変えていた水晶が、輝きを増した。
そして、光が溢れてだんだんと人型に変わっていく。
光がおさまると、そこには、青色の長髪の、とんでもない美人がいた。
その人は、正座の状態で倒れそうになっている桜花に近づき抱きとめる。
「・・・セレス様?」
「ええ、桜花さん。あなた達のおかげで、無事封印から脱する事ができました。ありがとうございます。よく頑張ってくれましたね。」
この声・・・黒瀬と戦ってた時に、黒水晶の在り処を教えてくれた声だ。
やっぱりセレス様だったか。
「龍馬さんも皆様もありがとうございました。私は管理者のセレスと申します。よくぞ、ヴァリスの封印を解いて頂きました。お礼を申し上げます。」
そう言って微笑む。
うわぁ・・・やっぱり凄い美人だ。
「セレス様・・・?」
「ほ、本物の・・・?」
「嘘・・・」
「でもなんかすげー神々しい感じだぜ?本物っぽいな。」
「うう・・・感激なのです!」
「まさか、神様にお会いするなんてね。」
「驚きましたわ。」
「・・・お救いできて良かったです。」
みんなも驚きを口々にする。
「私が不甲斐ないばかりに、ヴァリスの暴走を止められず、本当に申しわけございません。」
セレス様がそう言って頭を下げると、
「とんでもございません!」
と声が響いた。
そちらを見ると、片膝をついたレアルさんと・・・民衆。
「そもそも、我々信者が、セレス様が封印されている事に気づけなかった事がいけないのです。申しわけありませんでした。」
「・・・レアル、あなたの祈りはいつも届いておりましたよ?あなたは変わりませんね?」
「・・・おお・・・もったいのう・・・もったいのうございます・・・」
レアルさんは感激して、落涙も気にせず、顔を振っていた。
「私は神と名乗るのもおこがましいですが、みなさんのお祈りのおかげで、今日まで生きながらえることが出来ました。感謝いたします。」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「おおおお!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
セレス様の言葉で、民衆からも感動の声が上がった。
そりゃそうだよね。
信仰している神様から、お礼を頂くなんて、信者冥利に尽きるのではないかと思う。
「さて、龍馬さん。事情は把握しています。ヴァリスを一緒に止めましょう。」
これは心強い味方ができたね!
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