第267話 見極めの夜 sideカエラ
とりあえず、彼らを見定める事になりました。
私達は、しっかりと挨拶をしていなかった事を思い出し、それぞれ自己紹介をもう一度しました。
「五剣姫のカエラ・セリンです。カエラと呼んで下さい。」
「同じく五剣姫第四位のオリビア・リンハイムでーす。オリビアって呼んでね!」
「五剣姫第五位、キリア・パプティです。キリアでいいです。」
「僕は三上龍馬です。龍馬で良いですよ。」
リョウマさんは不思議な人だ。
話を聞くと、勇者オウカと同じ世界から来たというのに、「勇者ですか」と聞くと、「勇者では無いです。迷子です。」とよくわからないことを言います。
「まずは、客間に荷物を置いて来て下さい。」
リョウマさんにそう言われ、案内される。
部屋の設備の説明をされるけど、今までに聞いたこともないようなものばかりでした。
説明を終え、使用人の方が退出すると、オリビアが、
「ね〜。あの話どう思う?」
と言ってきました。
リョウマさんの話・・・はっきり言って信じられない。
いえ、信じたくないという方が適切でしょうか。
女神セレス様が封印されており、教会を牛耳っているのは、ヴァリスという偽の神などと・・・
しかし、勇者は確かに聖剣を使用したと思います。
それに・・・確か、メイビスの至宝は、真実の眼というスキルを持っていた筈です。
嘘を見抜くというスキル・・・あの、「メイビス」が嘘を吐く輩と一緒に、ましてや婚約者となるとは思えません。
そこから導き出されるのは・・・彼が言っていることは全て本当である、という事です。
「わたしは信じても良いと思う。」
キリアが言いました。
「なんで?」
「みんなの様子を見ていてそう思った。それに、実際にグレイスとウルトは凄まじい力を得ている。彼の指導でそうなったのであれば、普通じゃないのは明らか。」
「そうだよね〜。」
「オリビアはどう思うのです?」
私がそう聞くと、オリビアはにっこり笑って、
「アタシも信じるよ。」
と言いました。
「何故です?」
「勘。」
・・・がっくり来ましたが、オリビアの勘はよく当たるのです。
やはり・・・
「カエラ様はどう思うの?」
「信じたくありません・・・が、信じるしかないのでしょうね・・・」
これが本音です。
そうしていると、食事に呼ばれました。
先程皆様で話をしていた部屋に案内されると、見たことのないような食事が並んでいます。
どれもとても美味しそうで、オリビアは既によだれが出ています。
「どうぞお召し上がり下さい。」
リョウマさんの言葉で食事を開始する。
「うまっ!?」
「美味しい・・・」
「!!モグモグ。これは美味。」
凄く美味しい・・・はっきり言って、王都にある有名なお店よりも美味しいと思います。
お腹いっぱい食べてしまいました・・・
「お風呂もどうぞ。」
お風呂・・・どういったものでしょうか?
「勝手がわからないだろうから、私が一緒に入浴しよう。」
「ふむ。五剣姫で入るというのも面白いかもしれんな。私も入ろう。」
グレイスとウルトが教えてくれることになりました。
ようは、水浴びや湯浴みの時に、お湯を張った大きな浴槽?というのに浸かるものらしい。
グレイス達の案内で、お風呂という所に行く。
服を脱ぎ、お風呂場というところに行くと、グレイス達の指示に従って、しゃんぷーとこんでぃしょなーというのを使って髪を洗う。
・・・凄い!髪がしっとりとしてツヤツヤに!
次は石鹸?というので身体を洗う。
凄くさっぱりする・・・
そしていざ浴槽に。
・・・ふ〜・・・これがお風呂・・・良い・・・
「それにしても・・・グレイスもウルトも強くなったよなぁ〜。なんだよあれ!」
「本当に。信じられない位強い。」
オリビアとキリアが二人にそう言う。
二人は得意げに、
「全てはリョウマのおかげだ。」
「うむ。師匠は本当に素晴らしい!」
この二人も心酔しているのね・・・特にウルト。
「あなた方はリョウマさんの話を信じているのね。」
「それだけのものを、今まで見せて貰っていたからな。それに教会の闇も腐るほど見た。」
「師匠が嘘をつくメリットが無い。圧倒的に強いからな!その気になればなんでも力技でどうとでも出来る。しかし、師匠はしない。優しいからな。」
私の言葉にそう答える二人。
圧倒的に強い・・か。
「アタシ達は見てないんだけど、ぶっちゃけどれくらい強いんだ?」
オリビアの言葉は、私が知りたいことでもある。
「そうだな・・・オウカを含めて、我々が全力で全員同時に戦っても、まず、勝てない。どころか、ダメージをどれだけ与えられるのかもわからん。」
「うむ!師匠は最強だからな!」
それほど・・・
「想像が出来ない。でも・・・そうでもなければ、この二人がこんな風にベタ惚れになっていないと思う。」
そうね・・・この二人に限らず、私達五剣姫は、みんな自分よりも強い相手と結婚したいと話したこともあったものね。
しかし、話を聞けば聞くほど信じざるを得なくなる。
これは、覚悟を決めないとね。
「決めました。私の選択は・・・」
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