第264話 五剣姫筆頭の訪問

 桜花の、僕への規制緩和措置から5日がたった。

 結論から言うと・・・やはり天国であって地獄であった。


 最初に入浴したのは、シエイラとリディアだった。

 そこに至るまでに、女性陣の話し合いは凄かった。

 まず、僕は追い出された。


 しかし、喧々諤々けんけんがくがくとした声が、居間の外まで漏れていたんだよ・・・

 最終的には、どうしても最初の添い寝が譲れない桜花を抜いて、くじ引き合戦が行われ、初日の入浴は先の二人、添い寝は桜花とメイちゃんになったんだ。


 入浴は・・・凄かった。

 いや、アレはしてないんだけど・・・まさに目の毒って奴だった。

 とにかく僕が気をつけていたのは、反応させない事だった。


 二人がタオルの上から、身体に泡を塗り始めた時に止めてなければ・・・危ない所だったよ。

 多分、身体を使って洗おうとしたんだろうけど、そんな風にされたら初日でアウトだった。


 添い寝は、テレテレの桜花と堂々としたメイちゃんだった。

 メイちゃんは早々に寝ちゃったので、桜花と腹を割って話をしたんだ。

 すると、桜花はこう言った。


「この世界には、死はありふれているでしょ。ここに居る限り、いつまでも向こうの価値観でいるのも、どうかなって思ってさ。」


 なるほどって思った。

 桜花は僕が思うより、ずっとしっかりと考えていたんだよね。


「でもね、龍馬。約束してほしい・・・て言うのもアレだけど、出来れば、その・・・最初は私にして欲しい。だって、私が最初に龍馬と付き合ったんだもん・・・」


 ちょっといいですか?

 めっちゃ可愛いんですけど!?


 少し照れながらそう言う桜花は、今まで僕が見てきた桜花の中でも、ダントツで可愛いかった。

 正直、そのまま・・・て考えなくも無かったけど、流石にメイちゃんが横にいるのに・・・それはちょっと・・・ねぇ?


 でも、桜花がそこまで考えているのなら、僕も恥ずかしいとか言ってられない。

 

 僕も最初は桜花が良い。

 そう覚悟を決めたんだ!

 決めたんだけど・・・みんなを舐めてた。


 翌日から始まるみんなの攻撃。

 ヤバイよ・・・ヤバすぎるよ。

 

 いやね?決定的なのはないんですよ?でもね?


 みんな魅力的すぎる!

 

 僕は耐えに耐え、なんとか貞操を守っている・・・あれ?普通逆じゃない?

 

 何度か反応しちゃったけど・・・耐えてる! 

 ・・・ちょっと早めに桜花としないとヤバいかも・・・


 そんな事を考えていたら、王城から連絡が来た。


『リョウマ。王城に、五剣姫の筆頭であるカエラ・セリンが来てのぅ。教会の命により、ウルトの協力を要請してきよった。今、ウルトは別任務でここにおらぬと言ったら出ていったが、向かった方角はアルメスの方じゃったとの事じゃ。あやつは敬虔なセレス教の信者じゃ。詳しくは秘匿されていると教えんかったが、目的はおそらく・・・』

「うん。来るね。ここに。」

『うむ。残りの五剣姫の二人も一緒におった。間違いないじゃろうの。』

「了解。と、すると、到着は1週間後くらいかな?」

『もしかしたらもう少し早まるかもの。』

「わかった。」

『のうリョウマよ。作戦は前回の話し合いの通りで行くのかの?』

「そのつもりだよ。」

『むぅ・・・であれば、出来ればで良い。五剣姫は生かしてやってくれぬか?』

「確約は出来ないよ。僕が優先するのは、桜花やみんなの命だ。」

『で、あろうの・・・無理を言った。』

「いいよ。気にはしておく。というか、伝えておくよ。」

『よろしく頼むぞ。』


 五剣姫筆頭か・・・問題は、おそらく使用するであろう魔狂薬で、どこまで強化されるか、だな。


 僕は、ディバイドさんからの連絡をすぐにみんなに伝える。

 みんなの表情が変わった。

 特に桜花がね。


「これから期間は一週間弱だ。もう少しみんなを追い込む。着いてきてくれるね。」


「「「はい!」」」「「「「ええ!」」」」「おう!」「「うむ!」」


 僕も気合を入れる。

 

 それから、一週間は更に力を入れた。

 特に、桜花への比重は多くしていく。


 基礎訓練の後に、桜花対全員と総当りでの訓練、多対一の訓練、魔法のみや剣技のみの縛り訓練、圧倒的強者・・・僕との訓練。


 毎日毎日、桜花は終わる頃にはボロボロのクタクタだ。


 しかし、その甲斐あってか、桜花はメキメキ実力を上げていく。

 その中で、桜花のスキル・・・聖剣召喚に変化があった。


 その変化とは、力が強化されるだけじゃなく、召喚された聖剣が意思を持つモノになったんだ。

 驚くことに、聖剣は念話を使用し、僕たちと話が出来たんだ。

 

『はじめまして皆様。私は桜花様から生まれた聖剣、銘を雪月花と申します。雪と呼んでください。』

「は、はじめまして?」

『皆様の事は、桜花様とのリンクにより存じております。桜花様の旦那様である、龍馬様には、主たる桜花様共々、よろしくお願い致します。』

「う、うん。こちらこそよろしく。桜花をよろしくね!」

『はい!もう少し成長したら、人化出来ると思います。そうしたら、桜花様ともども可愛がって下さい。』

「どういう意味!?」

『どういう意味とは?そのままですが?つまり、人と人との営み。セッ・・・』

「待ちなさい!雪!それ以上はいけないわ!!」


 そんなこんなで、ドタバタして過ごしていたんだけど、ついに6日目にアルザードさんから連絡が来た。

 五剣姫の筆頭のカエラ氏が、グレイスの協力を仰ぎに来たんだ。

 アルザードさんは、リディア共々家を離れているので、出来ないと断ったみたい。

 その後は、カエラ氏達は、冒険者ギルドに行き、桜花の居場所を聞き出した後、教会に行ったらしい。

 おそらく、今日はもう日が落ち掛けてるので、明日、朝一にここに来るのではないかとの事だった。


 いよいよだな・・・

 僕たちは、最終打ち合わせをして、早めに就寝した。

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