第263話 龍馬達の過ごし方

 あれから一週間位がたった。

 まだ、教会にアクションは無い。


 一応、桜花の出した策を用いることになったんだけど・・・向こうのアクションが無いと、使えないんだよね。


 でも、この策は、桜花の危険が捨てきれない。

 早急に強くなって貰う必要もある。


 僕たちは、依頼は全てやらず、時間はひたすら訓練に費やす事にしたんだ。

 

 今、目の前には、ウルトと桜花が模擬戦をしている。

 ウルトは、一時的に近衛から離れて、僕たちの家にいる。


 この策を実行するに当たって、ディバイドさんが気を効かせてくれて、ウルトを派遣してくれたんだ。

 ちなみに、ガーベラも修行に来ている。

 もし、教会が強硬策を取ってきた場合、ネモス小国が巻き込まれる可能性が否定できないからだ・・・て事になっているけれど、多分違う。

 ウルトだけが修行するのにズルいってガーベラが騒ぎたて、アネモネさんから頼まれたのだ。


 まぁ、それは置いておいても、桜花にはペインとかいうヤツに勝てる実力はつけて欲しい。

 正直何があるかわからないからね。

 

 一度、僕対全員で模擬戦をしたんだけど、その時の感じ的に、まだ、桜花の実力はそこまでには至っていない。

 できれば、作戦実行までには、それ位にはなってて欲しいんだけど・・・


 

 訓練を終え、みんなで食事を取る。

 今日も充実した訓練だったようで、食事の時にもみんな笑顔だ。


「美味しい!それに自分が強くなっていることがわかる!お風呂も良いし、やっぱりここにずっと住んでいたい!ねぇ、リョウマ、駄目?」

「駄目です。君はお姫さまでしょ?」

「なんでよ!レーナだっているじゃない!!」

「私は元お姫さまなので・・・」

「キー!!ズルーい!!ウルトさんもそう思うわよね!」

「うむ。師匠。ここは一つ、私の身体で手を打ちませんか?」

「打ちません!!」


 は〜・・・毎日こんな感じで、ガーベラとウルトのアピールが凄い。

 そして、二人はいつのまにか、自分の部屋まで確保している。

 その事実にみんなも苦笑しているけど・・・


 当然そんな状態なので、婚約者となったみんなとの桃色な事は何もない。

 正直、ちょっとくらい・・・と期待もあったけれど、状況もそれを許さない。


 まぁ、仕方がないんだけど・・・ちょっと・・・いや、かなり残念。


「・・・なんかリョウマがエロい事考えてる気がする。」

「ええ、私もそう思うわ。」


 そんな僕を見て、アイシャと桜花がおもむろに口を開く。

 この二人は異様に勘が良いんだよね・・・


「嫌らしいこと、と言うより、折角婚約者が出来たのに、何も無いことにがっかりしているのでは無いかと思います。」


 そして、リディアは相変わらす心を読むよね!?

 やっぱり、スキルなんじゃないの?


「違いますよ?」

「ほら〜!?」


 じゃあ、なんでわかるの!?

 僕喋って無いよね?


「う〜ん、ここは一つ、みんなでリョウマを労ってはどうだろうか?」

「グレイス?どういうことかしら?」

「例えば・・・そうだな。我々で順番に背中を流すとか、添い寝をするとか・・・」

「・・・なるほど。意図的に流れを作るわけですね?」


 グレイスとシエイラがなんか怖い事言っている・・・

 でも、それくらいならもう良いのかな。


「こちらから手を出すのはありなの?」

「それならメイも頑張るのです!」

「これは・・・王竜の娘として負けていられませんわね!」


 エルマとメイちゃんとエスメラルダも乗り気のようだ。


「ちょっと!嫌らしい事は・・・」

「お待ち下さいオウカ様。ご主人様はずっと我慢されていたのです。そろそろ少し位は緩和されてもよろしいのでは?」

「そうですね・・・ご主人様がお可哀そうです。」

「そ、それは・・・」


 桜花のストップに、ルーさんとアナが反論する。

 ドキドキ・・・


「ほら、リョウマさんも期待されていますよ?」


 はっ!?

 リディアに看破された!?


 桜花がこちらを見て、キッと睨んだ後、何かを考え込む。

 その顔は赤い・・・


「・・・は〜。そのようね。仕方がない、か。龍馬のスケベ!」


 ぐっ!?

 その言い方は心に来る!


「ちょっと待ったぁ〜!!それって私達も参加できるの!?」

「私も参加希望です。」


 ガーベラとウルトが参戦する。

 しかし、これには桜花がストップをかけた。


「これは、婚約者としての立場にある人だけよ。あなた達は・・・駄目。今は。」


 今は!?

 ねぇ、桜花・・・君はどこまでを想定しているんだい?

 ちょっと僕に教えておくれよ。


「え〜!?」

「む〜!。」


 その答えに二人はむくれたが、その後ニンマリして、


「でも、今はって言った!私も参加できるように頑張ろっと!」

「精進します。」


そう言った。


 それで、桜花が作ったルールは


・ 毎日誰か二人が僕と一緒にお風呂に入る。(但し、タオルを巻いて入浴すること。最後までは駄目!)

・ お風呂に入った二人以外の誰か二人が添い寝。(但し、最後までは駄目!)

・ 誘惑はOK。だけど、僕から手を出さない限り最後までは駄目!

・ もし、最後までしたら報告すること。

・ 最後までしていなくても、何をどこまでしたかは女性陣で情報共有すること

・ 参加出来るのは婚約者とされている者、及び、例外としてルーとアナ


となった。

 早速今日から始まるらしい。

 順番はみんなで話し合って決めるんだって。

 

 そして、桜花は僕を見て、


「わかっているわね?」


と言いながら、凄く冷たい目線を送ってきた。


 わかってますとも・・・すぐに手を出したらなます切りにされそうだ。

 そう考えると・・・このルールは天国であって地獄かもしれない・・・


 我慢・・・どこまで出来るのか・・・

 僕は深いため息を吐くのだった。

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