第260話 教会の意向
僕たちはアルメスの冒険者ギルドに向かった。
すると、ギルドの前に、教会の騎士が20人くらいがいて、ギルド職員と揉めていた。
といっても、主にギルマスが応対していたんだけど。
ギルマスがこちらに気づくと、その視線で騎士たちもこちらに気づく。
すると、騎士のうちの一人がこちらに話しかけてきた。
「黒髪の長髪に妙な形の剣を持つ女・・・貴様が勇者オウカに相違ないな?遅いぞ!!」
僕たちには目もくれず、騎士はそんなことを言った。
こいつ偉そうだな・・・僕がムカッと来て文句を言おうとしたら、桜花に止められた。
桜花は僕に黙っているように目配せをする。
「確かにそうだけど、何かしら?私に用はないんだけど。」
「おい!この方は教会所属の騎士の隊長だぞ!なんて口の聞き方だ!!」
取り巻きの騎士が居丈高に言い放つ。
でも、桜花も負けていない。
「知らないわそんなの。私、教会所属じゃないもの。上から目線の人に気を使うような殊勝な性格していないし。で?何の用?」
「貴様!」
取り巻きの騎士が桜花に詰め寄ろうとしたところ、隊長が止める。
「口の悪い女だ。育ちが知れる。まあいい。教皇様からの勅命だ。一緒に来てもらおう。まさか断るとは言うまいな?」
「勿論。」
そう桜花が言うと隊長は満足そうに頷く。
だけど、それは早計だ。
「断るわ。」
「何!?」
そう言い返されて面喰らう隊長。
そして表情を憤怒に変えた。
「おい・・・女神セレス様の使徒たる教皇様の御下命に背くつもりか!!」
「セレス様に従う・・・ね。ええ、だって私にはセレス様に協力するつもりはあっても、従う義務は無いもの。当然あなたたちの教皇様にもね。」
「・・・ならばもういい。無理やりにでも連れてこいとのおおせだ。おい!この無礼者を拘束しろ!」
隊長の命令で一斉に武器を構える。
しかし、桜花も不適に微笑む。
「ふ〜ん。やれるのかしら?貴方たち程度に?」
「やれ!邪魔するものは切り捨てよ!!これは女神の意思である!!」
騎士たちは切りかかってきた。
は〜・・・これが教会の騎士、ね。
お里が知れるなぁ・・・
数分後。
僕たちの目の前には、ボロボロになった騎士たちが倒れていた。
隊長を除いて。
ちなみに、これは桜花一人でやった。
僕たちが動こうとしたら、「この程度助けはいらないわ。こいつらが逃げ出さないようにだけ見てて」と言うので、包囲に留めたんだ。
「ば、馬鹿な・・・女神の使徒たる我々セレス教の神殿騎士が・・・」
隊長は武器である剣を刀身半ばで切られ、桜花に刀を突きつけられている。
「それで?あなたはどうするの?」
「・・・・・・」
「だんまりも良いけど、こちらは容赦しないわよ?」
そう言って殺気で威圧すると、隊長は冷や汗を流しながら目を逸らした。
桜花は攻める手を止めない。
「で、貴方達は私を教皇の元に連れていこうとしたけど、その目的は何?」
「・・・・・・」
「あ、っそう。言わないのね。」
その瞬間、桜花は騎士の指を数本切り飛ばす。
「ぎゃあ!?」
「早くしないと、剣が握れなくなって転職しなきゃいけなくなるわよ?」
「・・・知らぬ。」
「はぁ?」
桜花はもう一度指切りをしようと剣をピクリと動かす。
すると、それを見た隊長が焦ったように、
「違う!知らないのだ!我々の任務は勇者を教皇様の元に連行するだけだ!それ以上は知らぬ!!」
そう言った。
僕はリディアを見ると、リディアは頷いた。
リディアに嘘は通じない。
ということは、本当に知らないんだ。
僕は念話で桜花にそれを伝え、一先ずこいつらを逃がすことに決めた。
桜花は刀を納刀し、隊長に言い放つ。
「失せなさい。教皇の元に行くつもりはないわ。何度来たってそれは同じ。来るなら覚悟することね。次は手加減しないわ。」
すると、隊長は忌々しげに舌打ちをし、
「・・・後悔するぞ!撤収!!」
と、言ってその場を離れた。
ふむ。
どうやら、敵も何か考えがあるみたいだね。
僕たちも作戦を練らなければ。
僕たちは話し合う為に、場所を移動しようとしたけど、その前に、ギルマスにひと声掛け、今後教会の奴らが来た時は、ホームの場所を教えるように言い、その場を離れた。
いよいよ、敵も本腰を入れてきたか・・・
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