閑話 感動の再会と狂乱(2)

 なんとか女性陣をなだめ、僕は、みんなを母屋に案内する。

 初めて来たセルマさん、グレイガルムさん、ツカサさん、マサオミはかなり驚いていた。

 そして、色々案内しながら説明する。


「火の元の国の建築様式に似ているな。」

「そうですね。しかし、内部の技術は、とんでもないものばかりです。リョウマ、いくつか、ツカサ様の部屋や、私の屋敷に、設置できないだろうか?」


 依頼であれば承ります。


 そして、居間に入り、さっきと同じ様に、初顔合わせの人は挨拶を交わす。

 そして、それぞれ、ジード特製のお酒を注いだグラスを、手に取ってもらう。

 乾杯の音頭はどうしよう?


「リョウマでよかろう。」


 ディバイドさんの言にみんな頷いた。

 ではでは。


「それじゃ、グレイガルムさん、ツカサさん、マサオミ、セルマさん、黒猫会へようこそ!乾杯!!」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「乾杯」」」」」」」」」」」」」」」」」


 そうそう、この会合に名前をつけようと、ディバイドさんが言い出し、みんなで考えた結果、僕たちのパーティ名の、シャノワールの日本語和訳である、黒猫から取って、黒猫会となりました。


 そして宴会が始まった。

 ツカサさんとディバイドさんは、再会を喜び、お互いに手酌で飲み合っている。

 女性陣は、セルマさんとアネモネさんから、大人の女性のあり方を学んでいるようだ・・・お手柔らかに。

 グレイガルムさんは、アルザードさんとジラートさん、セルヴァンさん、マサオミと、竜の生体について聞いている。

 こんな機会が無いと聞けないからね。

 みんな目を輝かせている。

 男はみんな竜好きだからね。

 竜、格好いい。


 僕?

 僕は相変わらず、ルーさんと料理を作っている。

 たまにはルーさんも、僕に任せて楽しんできていいよ?って言っても、ルーさんは聞かない。

 後でご褒美を頂ければその方が嬉しいんだって。

 ・・・後が怖いなぁ。



 二時間位経過した。

 みんなかなり出来上がっている。


 庭を見ると、竜の姿に戻ったグレイガルムさんに群がる男性陣。

 年配のディバイドさんですら、目をキラキラさせて、鱗を触らせて貰っている。


 最初は、同じ様に鱗を撫でさせて貰っていた、アネモネさんやセルマさん、ガーベラやウルトは、今、リディア達を後ろに控えさせ、僕に詰め寄っている。


 誰か助けて!


「ねぇ、聞いてるのリョウマくん!いい!?女はね、ある程度歳を重ねた方が、魅力的なのよ?小娘には負けない、円熟した色気を持つの!」

「そうね。セルマの言うとおりだわ。だからまず、あなたのお嫁さん候補達の前に、わたくしやセルマを、抱いてみるのもいいと思うの。まずは、あなた自身が、女という生き物を知る。そして経験を重ねた上で、お嫁さんたちに、恥をかかせないようにする。これがデキる男と言うものよ。だから、まず私でどうかしら?」

「ちょっとアネモネずるいわよ!私だって、夫を亡くしてかなりたつの。あなたも一緒でしょ?だからリョウマくん、なんなら私とアネモネ二人同時にしたらどうかしら?」

「セルマ!あなた天才ね!リョウマくん!そうしましょう!!」

「ふふふ・・・これも娘のエルマを思っての事。エルマに恥をかかせたく無いもの。だから、先にリョウマくんを味見・・・じゃなかった、リョウマくんに、経験を積まさせてあげないとね!」

「そう!その通りだわ!私もガーベラが可愛いもの!だから一肌脱がないと!リョウマくんは、ちゃんとわたくし達が脱がしてあげるからね!」


 どうしてこうなった・・・


「ちょっと、お母様もセルマさんも、何言ってんのよ!」

「そうです!お母さん!それは妻となる(予定の)私達がすることよ!」

「エルマさん?ちょっとお母様達に毒されてるわよ!?」


 ガーベラの言う通り。


「うむ。そうだな。リョウマにはまず、リディアちゃんの姉である私からしてもらうとしよう。」

「待て、グレイス!ズルいぞ!!ね〜師匠!グレイスがズルいんです!お願いですから私も仲間に入れて下さいよぅ。」


 ウルトが涙目でしがみついてくる。


「ちょっとまったぁ!それならあたしだって先がいい!ここは一番丈夫なあたしの出番だろ!みんなより先に身体を張るところだ!」

「お姉ちゃんずるいです!一番若いメイで良いと思います!」


 姉妹で喧嘩しない!

 仲良く喧嘩して!!


「まぁまぁ皆さん。ここは、出逢った順でどうでしょう?だからまず、私が先陣を切りましょう!」

「ちょっとリディア〜!ズルいわよ〜!それなら〜、一番最初に告白した、私でいいんじゃないかしら〜。ね!リョウマさんもそう思うでしょ?だから・・・ね?私の部屋に・・・行く?行きましょ?ね?」


 いいえ、自分はそうは思いません!


「そ〜う〜で〜す〜!こ〜の〜な〜か〜で〜〜、い〜ち〜ば〜ん〜〜、と〜し〜う〜え〜な〜の〜は〜〜、りゅ〜う〜ぞ〜く〜の〜〜、わ〜た〜く〜し〜で〜す〜〜!わ〜た〜し〜が〜さ〜い〜しょ〜〜!!」


 エスメラルダ、ベロンベロンじゃん!?


 というかみんな酔いすぎ!!


 ギャースギャースと言い争う女性陣。


 いつの間にか、僕はそっちのけになっていた。

 そこで腕を引かれる。

 そちらを見ると、ルーさんが人差し指を立てて、し〜って言いながら、僕の耳元に顔を近づけた。


「今のうちに避難しましょう。」


 ルーさん!助けてくれるんだね!?

 ううう・・・味方はルーさんだけだよ・・・


 僕はルーさんの後について行く。

 そして、炊事場の隣にある、ルーさんの部屋に匿われた。

 助かった。


 僕がホッとして胸を撫で下ろしていると、


 カシャン!


 ん?

 何の音?

 なんかデジャブな・・・


 振り向くと、メイド服を着崩すルーさんが!!


 !!!!????

 ルーさんは、獲物を前にした、狩人のように、僕ににじり寄ってくる。


「さあ、ご主人様。先程は大変でしたね。ご休憩の時間ですよ?」

「どういう意味の休憩!?」

「あら・・・大丈夫です。ちゃんと教えてあげますよ・・・」

「い、いえ、結構です!」

「そうですか、結講ですか。つまり許可を出された、という事ですね。うふふ。」

「ちがーう!!」


 逃げ出そうとしたけど、その前に抱きつかれる。

 近い!顔が近い!いい匂いがする!!

 ポワンとして力が抜ける!


「さあ、ご主人様。お互いに大人になりましょうね。」


 ああ・・・もうダメだ・・・父さん・・・母さん・・・僕、大人にされちゃう・・・桜花・・・お先にごめん・・・ね・・・


 ドカーン!!

 その瞬間ドアが蹴破られる!

 僕たちがハッとしてそちらを見ると、女性陣が勢揃いしていた。


「こら〜!!リョウマくんを大人にするのはわたくしです!」

「いいえ!わたしよ!」

「どっちもちげぇ!元人妻達は後だ!あたしが先だ!」

「ここは公爵令嬢たる私です!」


 口々にそんなことを言いながら飛びかかってくる女性陣。

 

 ぷよんぷよん、むにゅ〜、ふわっ、ぎゅ〜。


 いい匂い・・・柔らかい・・・

 あまりの女性密度に耐えられなくなり、僕の意識はだんだん薄れて行くのだった。



 追伸

 父さん、母さん、桜花

 この後、僕の貞操は、異変に気づいた男性陣によって助けられ、守られました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る