第229話 やってやろう!
僕は、苦戦しているエスメラルダの方を助ける事にした。
エスメラルダはまだ修行を開始した直後だからね。
見る限り、あの真神教徒はワグナ達より少し弱い程度だから、まだエスメラルダでは勝てない。
それでも生き残ってるのは成果が出ているからだね。
僕は、エスメラルダに止めを刺そうと大きく飛びかかっている奴に一気に近づき飛び蹴りを食らわせる。
「ぐはっ!?」
そのまま蹴り飛ばした奴に止めを刺そうとした時、横合いからもう一人が持っていたランスで串刺しにしようと迫ってきた。
「死ね!!っな!?」
僕は刀をストレージから取り出しスピアを切り飛ばした。
「馬鹿な!?このスピアは神の祝福を受けている武器なのだぞ!?」
「その神様が偽物だからじゃないの?」
「おのれ!神からの賜り物をよくも!!」
「大丈夫。安心してよ。いずれその偽物は僕が倒すから。」
僕は、激昂して手元に残ったスピアの柄の部分を振りおろして来た真神教徒に、躱し様に刀で首をはねた。
ふぅ。
これで終わりかな。
『リョウマ様、申しわけありません。』
エスメラルダが悔しそうにしている。
「いいよ。これからこれから。僕がもっと強くなれるよう教えるからね。」
僕がそう言うとエスメラルダは真剣な顔で
『はい!精進いたします!』
と気合の入った声で言った。
さて、怪我をした竜達はメイちゃんに回復を任せるとして・・・っと。
僕は呻いているシンガンに近づく。
「これで勝敗はついたね。」
「・・・よもやあの真神教徒すらも歯牙にも入れぬとは・・・だが勝ち誇るのはまだ早い!我々が伏兵を考えていないと思ったか!」
まだ、勝機を失っていない!とでも言いたげなシンガン。
だけどそれは誤りだね。
「おーい!リョウマ!!こっちは終わったぞ〜!!」
「他愛もない奴らだったな。」
「リョウマさんの方も終わっていますね。お疲れさまでした。」
そう言ってアイシャやリディア達が小走りで近づいて来る。
「な・・・そちらには精鋭を残してあった筈では・・・」
シンガンが鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている。
「あ〜ん?精鋭?あれが?雑魚だったぞ。」
「な・・・馬鹿な・・・」
シンガンはアイシャの言葉に、最初こそ信じられないという顔をしていたが、段々と意味が分かってきたようで、がっくりと項垂れていた。
「さて、それじゃシンガン。もう一度聞くが、ツカサ様が囚われているのはどこだ?」
僕が刀を向けると、シンガンはこちらを睨み返し、
「・・・話すことは何もない。もはやこれまでか。・・・タカミツ様!無念です。」
そう言って隠し持っていた匕首で首を掻き切った。
そしてそのまま倒れ込んだ。
・・・こうしてみると、戦国時代の武将みたいだ。
まあ、最初から話すとはあまり思っていなかったから、そこまでのショックはないけどね・・・僕も大分、人死に慣れちゃったな・・・
でも、この異世界ではそんなことは言っていられない。
非常にならなければ生きていけない。
割り切らなければ。
「しかし、ツカサ様の居場所がわからないとなると、どうしましょうか・・・」
リディアが口火を切り作戦会議が始まった。
と言っても僕には考えがあるんだ。
『どのようなお考えなのでしょう?』
「ふ・ふ・ふ!それはね・・・『思い切ってやってやれ!』作戦です!」
「「「「「「「?」」」」」」」
みんなが一斉に小首を傾げた。
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