第227話 火の元の国の使者
待ち合わせ日当日。
僕たちは既に配置に着いている。
時間は30分後位だと予想される。
待ち合わせの広場を囲む様に配置していて、僕は姿を消して広場内にいる。
不足の事態に対応するためにね。
火の元の国に近い方にはアイシャとグレイスが配置されていた。
リディアは火の元の国の方に200メートる位離れたところから観測のみをしてもらっている。
そのリディアから連絡があった。
『火の元の国の方角から集団が近づいて来ています。数は30。20人くらいはあまり見ない鎧ですね・・・火の元の国の独自の鎧でしょうか?あと10人は・・・白いローブに身を包んでいます。おそらく・・・真神教徒かと。』
来たか。
『広場には白いローブの半数と、火の元の国の者が10人ほど向かっているみたいです。残りの者は、アイシャとグレイスの間位の位置で立ち止まっています。』
『了解。なら、集団の後方に陣取って、三方向から挟撃出来るようにしておいて。』
『わかりました。』
『みんな聞こえたね?まもなくだよ。エスメラルダ、どんな感じ?』
『予定通り、少し待たせる形で到着する予定です。』
『よし、それでお願い。』
さて、鬼が出るか蛇が出るか・・・
そうこうしているうちに、広場に入ってくる集団が視界に入った。
あ〜やっぱり真神教徒がいるね。
でも、飛び抜けて強い奴はいないなぁ・・・
「将軍」は来ていないのかな?
そうしていると、竜の里方向から竜が5頭、飛んでくるのが見えた。
どの竜も荒々しく着地する。
中にはエスメラルダもいた。
いい演技だね。
「いつもと違う竜の方が来られているのですな。ワグナ殿はどうされたのですか?」
集団の中の一際目立つ兜をつけている男が口を開いた。
鑑定!
【種別:人族
氏名:シンガン
状態:正常
備考:将軍タカミツの腹心】
ほうほう、将軍の部下か・・・
僕は念話でエスメラルダに飛ばす。
エスメラルダはシンガンに対し口を開いた。
『ワグナは王竜を継ぐため、長老交えて打ち合わせです。わたくしはワグナの思想に賛同したため代わりに参りました。前王竜の娘エスメラルダと申します。あなたが、将軍タカミツの腹心であるシンガン殿でしょうか?』
「ほほう!どうやら計画は上手くいったようですな!それは喜ばしい事です。ワグナ殿から聞いておられたようですし間違いなさそうですな。おっしゃる通り、私はシンガンと申す者。以後よろしくお願い致しまする。」
『本日将軍殿は来られていないのでしょうか?』
「ええ、ワグナ殿の計画が上手く行った場合、すぐにでも次の計画である、セレスティア王国攻めをする為、現在軍の編成中でございますれば。」
ふーん。
今度はこっちを攻め落とすつもりだったのか。
『エスメラルダ、火の元の国の王について聞いて貰える?』
『わかりました。』
『シンガン殿。わたくしは計画については聞いていましたが、火の元の国の王はどう動かれるのでしょうか?わたくしは病に伏せていることしか存じないのですが。』
「ふむ・・・まあいいでしょう。実は我が国の王ツカサが病気というのは真っ赤な嘘で、とある所に監禁されております。かの御仁は将軍タカミツの崇高なる目的に異を唱えたためです。早く処刑すればよいのですが、そうもいかない理由がありましてな。」
『そうでしたか。あの計画は素晴らしいものですのにそれがわからぬとは凡夫なことです。してその理由とは?』
「ええ、さる魔神の祭壇の場所でございます。この協力者である真神教徒との取り決めで、祭壇の場所を教えることになっていたのですが・・・知っているのは残念ながら王と王竜だけと聞いています。エスメラルダ殿はお父上から聞いておられませんか?」
『残念ながら聞いておりません。ワグナが父を屠るところに居合わせましたが、最後まで何も言いませんでした。ですから知るのは火の元の王ツカサ殿だけでしょう。』
「それは困りましたね。であれば、ますます処刑するわけにも行かなくなりましたな。」
エスメラルダは演技うまいなぁ・・・
さて、どうしよう?
僕はオープンにしていた念話でリディアと連絡を取る。
『聞いてたと思うけど、王様生きてるって。他に聞くことなけれければ身柄を抑えようと思うんだけど。』
『そうですね。可能であればツカサ様の監禁場所を聞ければと思っていましたが、仕方がありません。』
『よし、それでは行動開始と行こう。エスメラルダさん。いいね?』
『はい!』
『アイシャ、グレイス、リディアもよろしく!シエイラとメイちゃん、エルマは、伏兵もいなさそうだからこっちに移動開始!』
『『『『『『了解!』』』』』』
僕は魔法を解いて姿を現した。
「っ誰だ!?貴様はどこから現れた!?」
僕の姿を見たシンガンが吠える。
他の奴らも警戒態勢に入った。
「全部聞かせて貰ったよ。残念だけどワグナの企みは失敗に終わってるんだ。僕の用事はあなたと・・・そこにいる馬鹿神を信じる人達の排除さ。」
「なんだと!?者共!この小僧を殺せ!!」
抜刀して僕に襲いかかってくる火の元の国の兵達。
真神教徒達はエスメラルダ達に襲いかかった。
僕は兵に向かって歩いていく。
刀を振り上げた兵に歩みを止めずにすれ違いざまに喉一撃。
そのまま次に刀を突いて来た兵には一歩足を進めながら半身になり、躱し様に手刀で首の骨を折る。
そのまま次の兵が袈裟斬りに来た所を一瞬止まって空振りさせ、振り切った所に一歩踏み込み水月に突き。
回り込んで棒立ちになっている兵の顔面に掌底。
そして回り込んで前にいるシンガンの前に出た。
僕が打った兵は全員絶命している。
ふぅ・・・やっぱり極小で合一を使うと神経を使うな・・・
でも、だいぶできるようになってきた。
僕が一瞬で兵を倒した事にシンガンは目を大きく開いて戸惑っている。
「な、なに?我が国の精鋭が一瞬で・・・」
「あ、精鋭だったの?気づかなかったよ。」
「き、き、貴様!」
「ちょっと黙ってて。」
僕は刀を抜いたシンガンの持ちての手首に蹴りを当てへし折る。
「ぐあ!?」
そのまま正面から前蹴りでシンガンの右足の膝を蹴り抜き、蹴り砕いた。
「があっ!!」
「じっとしててね。あんたにはまだ聞くことがある。」
そして、あと五人に目を向ける。
しかし、そこにエルマが放ったエアスラッシュが飛び込み一人の兵を切り飛ばした。
「リョウマくん。こっちは私がやるから、あなたは真神教徒を!」
そこで振り向くと、傷だらけの竜4匹と、傷は無いものの二人の真神教徒に押されているエスメラルダ、三人の真神教徒と対峙しているシエイラとメイちゃんがいた。
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