第215話 火の元の国へ

 翌日は準備にあてた。

 そして次の日いよいよ出発となった。


 公的には、今回の火の元行きは王家の依頼という形を取っている。

 内容は、火の元の国の、鎖国の原因の調査というものだ。


 じいちゃん的には、やっぱり仲の良かった火の元の王様のいる国の、急な鎖国が気になっており、この際調べてもらいたいという事だった。


 僕には勿論異論はない。

 わからなくても調査であれば、報告したら完了で、失敗扱いにはならないからね。

 一応、じいちゃんからは火の元の王様宛の親書も預かっている。

 もし、会えたら渡して欲しいとの事だった。


 今、僕たちはセレスティア王国から北へ進路を取っており、まもなく火の元の国の手前の山脈・・・ウスプラ山脈に差し掛かった。


 ウスプラ山脈・・・か。

 じいちゃんから聞いた所によると、このネーミングも建国した勇者がしたとの事だった。

 そうだろうね。

 ウスプラ→USUPULA→ALUPUSU→アルプス、だもん。

 中々捻ってるね。

 僕よりはネーミングセンスあるなぁ。


 見る限りかなり標高高いねこの山脈・・・富士山よりもだんぜん高い。

 標高で行ったら1万メートル位だろう。

 おそらくエベレストをはるかに越えているだろうね。


 旅路は今のところ順調だ。

 しかし、それがフラグとなった。

 伝声管からアイシャの声が響く。


『リョウマ!前方から竜種が3体来る!』


 ついに来たか。

 警戒態勢になる僕たち。

 しかしその時アイシャが戸惑う声で更に報告を続けた。


『なんだろう・・・前に突出している一体が傷だらけだ。後ろの二体から攻撃を受けてるみたいだ。』


 うん?

 竜同士の揉め事だろうか?


 そのまま警戒を続けていると、僕たちも目視出来る距離まで近づいた。

 

『・・・なんか三体ともこっちに驚いているみてぇだ。』


 なんだろうね?

 とりあえず、言葉が通じるかわからないけど、警告してみるか。

 僕は拡声の魔道具を使用し、竜に警告した。


『あ〜あ〜テストテスト。うん良さそうだ。こちらはセレスティア王国冒険者シャノワールです。竜種の方々聞こえていますか?僕たちに積極的な戦闘の意思はありません。僕たちの言葉がわかりますか?』


 さて、どんな反応だろう?


「「ガアアアアアアアァァァァァァ!!」」


 すると、戸惑っている竜の内、二体咆哮をあげながらこちらに突進してきた。

 攻撃されていた一体その場に止まっている。


 二体はそのままこちらにブレスを放ってきた。

 かなり高威力だね。

 しかし、こちらには結界がある。

 ブレスは結界に弾かれた。


「「ガァ!?」」


 竜は通じなかったため一瞬戸惑ったようだが、攻撃を物理に切り替えようと、体当たりをしてきた。

 当然それも結界に阻まれる。


『う〜ん、このままならば5秒後には反撃しますね。5、4、3、2、1・・・仕方がないか。レーザーキャノン発射!!』

「ギュオ!?オオオオオオォ・・・・」


 飛空艇からレーザーキャノンが放たれる。

 勿論結界は発射の瞬間解除してある。

 二門ある内、一本が片方の竜に直撃した。

 竜は土手っ腹に風穴を開けた


 それを見て、もう一方の竜は高度を上げ、こちらの上を取ろうとする。


「アイシャ、グレイス遠距離攻撃!」

『おう!(ああ!)』


 観測台から二人が攻撃を放った。


「オーラブレード モードヒュージ!モードリリース!!いけぇ!!」

「狼牙爆影脚!!」


 グレイスは魔力剣を巨大化させてから勢い良く飛ばす。

 アイシャは貫通力のある衝撃波を同じく飛ばす。


 どちらも竜までまっすぐ飛んでいく。

 そして直撃した。

 竜はその一撃でかなりのダメージを負ったようだ。


 しかし、流石は竜種。

 反撃のブレスを放とうとしている。

 でも、甘いね!


 その頃には僕たちは角度を調整して、船首を竜に向けている。


「レーザーキャノン発射!」


 竜に向けて放たれる攻撃。

 竜の頭部を削り取り、絶命させた。


 僕たちは最後の一匹に船を向ける。

 だけどその時、


『お待ち下さい。わたくしは火の元の国の竜の姫エスメラルダ。どうかわたくしの話を聞いて下さい。』


 竜が喋ったんだ。

 僕達は驚いたけど、竜は傷ついておりかなりつらそうにも見えた。

 話を聞いてみてもいいかもしれない。 


『わかりました。僕は代表のリョウマと言います。そちらの要望を飲もうと思います。まずは落ち着いて話すため、一度降下しようと思うのですがよろしいでしょうか?』


 そう話しかけると、竜はホッとしたようにして頷き、


『勿論です。では下に降りましょう。』


 そのまま降下していったので、僕たちも降下していった。

 さて、何が聞けるんだろう?

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