第214話 みんなの反応

 さて、全員が乗り込みました。

 今、アイシャとグレイスを除くみんなでブリッジにいます。

 

 二人は、ブリッジ上にある観測台に行ってもらっている。

 何かあれば伝声管で連絡が来る事になっている。


 一応、今日は緊急時のシフトで配置について貰った。

 さて、テイクオフ!!


「おお!?」

「!?」

「うわっ!?本当に浮いた!?」


 船体が浮いた事に皆から声が出た。

 飛空艇はそのまま高度をどんどん上げていき、現在は地上100メートル位になった。


「たかーい!!」

「凄い・・・」

「・・・怖い・・・」


 アネモネさんとガーベラさんは外を眺めている。

 セルヴァンさんはちょっとビビっているみたい。

 さて、高度も200メートル位になったね。


「微速前進!!」

「了解!!」


 僕の声にシエイラが加速レバーを操作する。

 船体はゆっくり動き始めた。


「動いた!!」

「ほほ〜ほんとに動きよったぞ!!こりゃ凄いわい!!」


 そのまま前進していく飛空艇。

 よし!次は加速だ。


「速度を巡航速度へ」


 ぐんっと船体が加速される。

 だいたい時速100キロ位まで加速した。

 これがこの船の巡航速度だ。

 これもOKだね。


「凄い勢いで景色が変わっていく・・・」

「は〜・・・凄いですわ・・・」


 アリオスさんとイリーナさんはそう呟いて、側面窓から下を見ていた。


 それじゃあ次だね。

 

「速度を高速へ」


 またぐんと速度を上げる。

 現在速度は時速200キロ位だろう。

 どんどん正面の山が近づいてくる。


「山が近づいてくる・・・」

「ぶつかるんじゃ?」


 プラムさんとネモス小国の宰相さんの顔色が悪い。

 でも大丈夫!


「速度を巡航へ移行、減速しつつ面舵2時の方向へ!」

「「了解」」


 リディアとシエイラが操作する。

 舵には時計を模したものがついているのでこれでわかるようになっている。

 船体は速度を落としながら少しずつ曲がって行く。


 ちょうど反転した所で、今度は


「船首角度プラス20度。上昇。」


 船体は少し上を向き上昇。


「船首0度」


 水平に戻り、


「船首マイナス20度」


 今度は沈み込み下降へ。


 よし!いい感じだ。

 僕たちはそのまま少し空の旅を楽しんだ。


 そして見渡す限り平原が続く所まで来てから停止する。

 みんなにデッキに出てもらい、好きにしてもらっている。

 それぞれ手すりから下を見てもらったり、歓談を楽しんで貰う。


「それにしても流石リョウマくんね!お空を飛べる船を作っちゃうなんて!!凄いわね!もし良かったら、今度二人でお空のデートしないかしら?初めてがお外ってのも思い出深いかもしれないわよ?」

「何言ってるんですか!?空でなんかしませんよ!?」

「そう。やっぱり最初がお空じゃ嫌かしら。わかったわ。なら、今夜お部屋に・・・」

「ち〜が〜い〜ま〜す〜!地上でもしませーん!!」

「ケチねぇ」


 アネモネさんは相変わらずだなぁ。


「まったくお母様は・・・リョウマ!お母様とする位なら若い私のほうが良いわよ!」

「ガーベラ!?君まで何いってんの!?」

「師匠!!ガーベラ殿が良いなら私も・・・」

「だからしないって!誰ともしませーーん!!」


 はぁ・・・この人達は・・・

 この三人は隙あれば迫ってくるようになったなぁ・・・


 僕が肩を落としていると、それを見ていたミリアンちゃんとアインくんが、


「リョウマさんモテるのね〜。あのネモス小国の女王様と王女様、王国の五剣姫にまで迫られるなんて・・・お姉さまの見る目は確かね。流石だわ。」

「リョウマさん凄いや・・・かっこいいなぁ!」


 これこれ、ミリアンちゃんはともかく、アインくんこれのどこが格好いいのかね?

 女性に振り回されまくっているだけだと思うんだけど。


「そういえばリョウマよ。この船の名前はなんと言うんじゃ?」


 突然のじいちゃんからの質問に名前をつけていなかった事に気づいた。

 どうしよう?

 みんなを見回すと、僕に決めろという。

 う〜ん・・・何かいいのないかな・・・僕たちにちなんだのがいいか。

 僕たちはシャノワール・・・フランス語で黒猫だ。

 船体も黒っぽいし・・・英語で黒猫はブラックキャット、ドイツ語はたしかシュバルツカッツェ・・・うん!ドイツ語にしよう!なんか格好いいし!


 と、言うわけで、飛空艇の名前はシュバルツカッツェとしました。

 ・・・ちょっと厨二心が騒いじゃった・・・


 そんなこんなで王国に機首を向け発信するのだった。


 ひとしきり空の旅も終わり、ホームへバックする。

 着地もバッチリだった。


 みんなとてもご満悦だった。

 二度目の運行も問題無しだな。


 これならすぐにでも火の元の国へ行けそうだ。


「リョウマよ。貴重な体験じゃった!また乗せてくれい!!」

「本当よね。リョウマくんまたお願いね!」

「僕は当分はいいかなぁ・・・高い所がこんなに苦手だと思わなかったよ。」


 じいちゃんとアネモネさんは気に入ったみたい。

 セルヴァンさんは高所は苦手みたいだね。


 みんなを見送った後、僕は火の元の国行きをみんなに告げた。

 待ってろ!!お米!!

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