第187話 王様との茶会

 王様付きの侍女に連れられ、王様と共に応接室に移動する。

 

 部屋に着くと王様はウルトさんに手を貸してもらいながら椅子に着席した。

 宰相の人とウルトさんはその後ろに立つ。


「座ってくれ。お主らもの。」


 王様は僕とアイシャ達を見てそう言った。

 遠慮なく座らせて貰う。


 王様は僕たちが着席したのを見計らって頭を下げながら


「まずは、我が国の者が不快な思いをさせてすまなんだの。申し訳ない。」


 僕たちに謝罪した。


「王よ!?いけません!」

「王!?」


 宰相さん達が止めようとした。

 しかし、


「黙っておれ!!先に言ったことを忘れたか!!リョウマ達は儂と同等に扱い敬意を持て!!さもなくば協力は得られぬものと思え!!」


 王様が怒鳴った。

 二人はその王様の剣幕に驚き、すぐに意図を理解し僕たちに頭を下げた。


「すまなかった。」

「申し訳ありませんでした。」


 僕たちは顔を見合わせた後、王様達に向き直った。


「僕たちも謝罪します。不敬な態度だったと思います。申し訳ありませんでした。」


 頭を下げる。

 アイシャ達も頭を下げた。

 王様は、


「頭を上げてくれ。これで禍根は無しとしたい。」


 そう言って笑った。

 

 その後少し雑談をしていると、王様が顔をしかめ、


「リョウマ。敬語はいらん。普通に喋れ。儂はお前を気に入ったのだ。儂は強者が好きだからの。お主の場合は筋が通っているのも良い。友人と同じと思えば良い。勿論仲間のお嬢ちゃんたちものぅ。その性格だ。他にも同じようなこと言われて、仲良くしている貴族もいるのだろう?」


 バレてる。

 まあいいか。

 僕はジラートさんとアルザードさんの事を話す。


「なんと、テロアとメイビスに既に潜り込んでおったか!確かにあやつらとは気が合いそうだの!」


 王様が笑っている。

 ぼそっとウルトさんが、


「・・・なるほど。それでグレイスは・・・」


と言った。

 同じ五剣姫として思う所があるのかな?


「ところでリョウマ。勇者を知っているか?帝国で召喚されたらしいが、女性と聞いている。その強さは半年で帝国の上位3名と戦えるほどらしいと聞く。お主も実は勇者ではないのか?」

「勇者じゃないです。ただの迷子です。」

「迷子?どういうことじゃ?」


 ・・・しまった。

 反射的に答えちゃった。

 どうしようかな・・・まあ良いか。

 国も巻き込んじゃえ。

 

 僕は大事な事だと強調して僕の秘密を話すことにした。

 宰相さんとウルトさんはというと、王様からの箝口令に従うというのと、女神セレスに誓ってもらった。


 僕はこの世界に来る事になった経緯と今までの全てを話す。

 王様達は驚いていたが、状況証拠、名称、それに僕の仲間たちの境遇や、実際に起こった事の証言を耳にし考え込んだ。


「宰相、ウルト、この事は絶対に秘密じゃ。魔神の件は王家にも伝わっておる。これは事実じゃ。宰相は知っておろう。そうなると・・・帝国がいま活発なのは怪しいの。なるほどのう・・・」


 王様は信じてくれるらしい。

 

「あいわかった。ならばリョウマよ。お主をセレスティア王国は支援しよう。但し、詳細を知るのは儂ら三人のみとする。良いな二人共。」

「「はっ」」

「にしてもリョウマ。お主、あのメイビスの至宝と五剣姫のグレイスをモノにしておるとはの。さらにテロアの娘も宝石の君として有名な者じゃろ?そこのお嬢ちゃん達も粒ぞろいじゃ。美姫ばかり集めよってこのスケベめ。」

「なんてこというんだこのエロジジイ!」


 僕の叫びにみんなびっくりしている。

 しかし当の王様は大笑いしている。


「わははははっ!この儂をエロジジイとはの!やはりお主は良いのう!気楽におれるわ。アルザードもジラートもお主の側に娘を置けてほっとしているだろうよ。ククク・・・儂も一人位孫を嫁に出すかのう?」


 いらないよこれ以上!勘弁して下さい。

 僕の泣きそうで焦った顔を見て更に王様は笑い出す。


「ははは!これほどの強者でも女には弱いようじゃの!!愉快愉快!」


 まったくとんでもないじいさんだよ。

 でも嫌な気分にはならないなぁ。

 色々協力してあげたくなっちゃう。

 これがカリスマなんだろうか。


 一頻り笑った後、王様は突然真面目な顔をした。


「しかし、リョウマ。ならばお主は今回の依頼を受けるべきじゃ。今回の戦争の発端は帝国じゃからの。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る