第90話 冒険者ギルド(8)sideドレン


「何をやっているんだ!冗談じゃないぞ!!ドレン!魔法を使え!!」


 うるせえな・・・文句があるなら、てめえが戦えってんだ。

 だが、負けるわけにも行かねえか。


「というわけで、魔法も使わせてもらうぞ。悪いな。」


 俺がそう言うと、小僧は、


「ええ、構いませんよ。お好きにどうぞ。」


と言った。


 ・・・クソ!新人に良いようにやられてたまるか!


 俺の二つ名は「迅雷」。

 パーティー名の迅雷はここから来ている。


 得意の身体強化を全開にする!

 

 小僧からしてみれば、俺から感じる圧力が、数倍になっているはずだ。


 さあ、俺の速さについてこれるか!?


 俺はいきなりトップスピードで相手に突っ込む!

 小僧は平然とした顔でこちらを見ている。


 こりゃ見えていないな。

 まあ、反応できるわけないけどな。


 そしてそのまま大剣を突き出した。


 もしかしたら殺しちまうかもな。


 剣はそのまま小僧の体に吸い込まれていった。

 小僧の身体を突き破る。


 勝った!だが、殺しちまったか!?


 しかし、剣は小僧の体に突き刺さったのに感触がない。


 その時、絶望的な声が聞こえた。

 俺の真下から。


「残像だよ。」


 嘘だろ!?

 あれ見えてたのかよ!?

 んで俺より早く動いたってのか!?


 まさか・・・平然としていたのは、余裕だったからか!?


 小僧は木剣を左手で下から支えるようにしている。


「廻里流剣術『巌崩し』」


 小僧の声がそう呟いた瞬間、顎からとんでもない衝撃が来て、体が浮いた所に今度は頭に衝撃が来た。


 朦朧とする意識の中、俺の頭の中には言葉が一つ浮かぶだけ・・・


 化け物だ・・・・


 そして、俺は意識を失った。


 

 

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