第77話 報告と今後(5)

 それよりも大事なことがある。


 そう言った僕に、リディアが、


「今のお話でも相当のものでしたが、これ以上ですか・・・」


と言った。


 そう、それ以上だ。なぜなら・・・


「首魁がわかったんだ。真神教をまとめるのは・・・教皇だ。」


「「「「!!!???」」」」


 僕がそれを説明すると、みんな一斉に息を飲んだ。


「そして、奴らはまだ何か計画しているらしい。そしてそれは絶対に良いことではないのは明白だ。だからこれから僕は、自分の目的を満たしがてら、それを潰そうと思う。」


「・・・それは、ジード様の開放ということですよね?」


 シエイラさんがそう問う。


「それも目的の一つだよ。僕の目的は、ジードの解放、女神セレスの解放、偽神ヴァリスの討伐、帰還の4つだ。最後以外は教会との対立は避けられない。」


 そう。


 奴らがジードの力を利用しようとし、女神セレスと敵対する限り、僕は奴らからの干渉は避けられないんだ。


 そう説明すると、伯爵とシエイラさんは、少し考え込んだ後、こちらをしっかりと見て、


「・・・セレス様の信徒として、お救いするのは当然の義務。リョウマに協力させてくれ。それに話を聞く限り、魔神の力を取り込んだ者の相手はリョウマ以外には務まらないだろうからな。」


「私も、出来ることをしようと思います。リョウマさん、リディア様、グレイス様、どうか協力させて下さい。」


そう言った。


 正直、危険に巻き込んだみたいで、申し訳ないけど、そうしてくれるのは助かる。


 とてもありがたい申し出だったので、了承した。


 すると、リディアが、


「ここでの事が終われば、私達とリョウマさんは父に会って頂き、父にも協力を仰いで貰う予定です。首尾よくいったらご連絡を差し上げますので、協力頂けますか?おそらく、私の家と、ジラート卿の仕事は、主に情報収集となると思います。実働はリョウマさんで。」


と言った。


 僕に反対は無い。


「わかった。リョウマ。今後何かあれば頼ってくれていい。」


 どうやら伯爵も問題ないようだ。


 よし、それなら・・・


「ありがとうございます。ならこれをお渡しします。リディアにも。」


 そう言って長方形で掌に収まるぐらいの石を渡した。


「これはなんだ?」


 石を色々な角度から見ながら伯爵が言う。


 これはですね・・・テッテテテッテッテー♪


「それは、遠距離でも使用できる通話装置です。使用する時は魔力を流して下さい。そうすると、石の表面・・・丸い刻印がある方ですね。そこに付与された吸音の魔法が作動します。その2つの石は対になっているので、片方の石に魔力を通すと、刻印に溜められている魔力が発動し、受信状態になって、対になっている片方の上部と底部から発音という魔法が作動しますこれでお互いに通話ができます。」


というと、みんな驚いていた。


「・・・それは凄いな・・・これがあれば、戦争、商業、全てにおいて優位に立てるだろう。勿論そんなものに使うつもりはないが。」


 伯爵がそう言うので、僕は、


「そうして下さい。もし、おおっぴらに使って盗まれでもしたら目も当てられないので。それよりも一度テストしてみて下さい。距離はあまり関係ないはずなので、ジラート卿の家からでもリディアの家まで届くはずですよ。理論上は。」


そう言った瞬間に、シエイラさんが、


「お父様!私使ってみたいです!!」


と叫んだ。


 伯爵は苦笑しながら、


「やれやれ、仕方がない。私はその後にしよう。」


と言って石をシエイラさんに渡す。


 好奇心旺盛なんだね。


 笑顔が輝いています。


 そうしてみんなで試した後、報告会はお開きになりました。

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