第60話 ゾルディア商会での攻防〜決着(4) sideグレイス


 残りはゾルドを除いて4人!


 でも、リディアちゃんも私も、既に肩で息をしており、魔力もあまり残っていない。


 特にリディアちゃんは、魔法を多用しているので、限界が近いだろう。


 そう思っていると、ゾルドの側にいた護衛らしき男が前に出てきた。


「・・・流石は五剣姫といったところだな。妙な魔法を使うようだがそれも見せてもらった。ここで排除させて貰う。」


 剣を構えた男は確かに強いのだろう。


 それに、他のやつらと違って理性があるように見える。


 いいだろう!


 剣を構えた瞬間、男が突っ込んできた。


 早い!


 男の突きを、剣で反らしながら躱す。


 男は、その剣を、そのまま横薙ぎにしてきた。


 私は、首に飛んでくるそれを身を低くしてかわす!


 だが、男はその勢いのまま、一回転して、今度は足元を横薙ぎにしてきた。


 飛んでかわす!そう思った瞬間背筋にゾクッとしたものを感じた。


 危険を感じた私は、バックステップでかわした。


 すると、男はさらに一回転して縦斬りを放ってきていた。


 ギリギリでかわせた!危なかった・・・ジャンプしていたら真っ二つにされていたかもしれない。


「やるな・・・だが、疲労はすでに限界のようだな。」


 男にはまだ余裕がある。


 こいつに一つ聞きたいことができた。


「それはこちらのセリフだ。貴様に一つ聞きたい。薬を使用しているとはいえ、それほどの強さを持っているのであれば、しっかりと剣の道を生きてきたはずだ。何故、ゾルドなどという外道とともにいる。」


 すると、男は、にやりと笑い、


「何かおかしいか?ゾルド様は金払いが良い。実力があればきちんと評価をしてくれる。騎士共のように、弱いくせに階級で偉そうしていたり、権力をもつ貴族に媚へつらう必要もない。それに・・・」


男は、嫌らしく笑いながら、


「甘い汁が吸えるんだよ。女も抱き放題だ。それを考えたらまっとうに生きるのなど馬鹿らしい。」

と、言い放った。


 そうか、この男はそういう男か。


 ならばもう迷うまい。


 心おきなく・・・・切る!


「さあ、お前は良い女だが、殺す。メイビスの嬢ちゃんは・・・殺さずに、ちょっとおこぼれをいただこうかな。胸も尻もうまそうだしな。・・・終いだ。これをかわせるか?


 そう言って男が構える。


 私も精神統一する。


 それはこちらのセリフだ!


 男が突っ込んでくる。

 

 今までで一番早い!そのまま、片手で突きを繰り出してきた。


 これは体重も力も相当だ!打ち払えない!


 ならば・・私は、なけなしの魔力を使って、身体強化を、今までで最大にする。


 持って3秒!だが十分だ!


 男の動きがゆっくりに見える。


 私は、まっすぐ心臓に伸びる剣先を、体を回転させながらかわす。


 その瞬間、男が驚愕の表情になった。


 私は回転したまま男の首をはねた。




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