第19話 領主の館へ(2)
呆気にとられている僕を見て、グレイスとリディアが焦りながら、
「シエイラ様!私は気にしていません!といか私から砕けた態度をとるようお願いしているのです。」
「そうですよシェイラさん。ちなみにそれは私も同じことです。この方は無名ですが超凄腕の護衛なのですよ。はっきり言ってグレイスよりも強いのです。無理を言って私たちの護衛をして頂いているのですからそこは気にしないで下さい。」
それを聞いてシェイラは固まる。
しかし、引きつった笑顔で、
「・・ご冗談を。グレイス殿は王国が誇る五剣姫の一人ですよ。そのような訳が・・」
と言った。
本当なんだなぁこれが。
「本当です。おそらくリョウマと本気で立ち会ったら私は10秒もたないでしょう。それくらい実力に差があります。」
そう告げる。
赤茶髪さん蒼白。
しかしまだあきらめない様子
「嘘・・・でも、仮にそうであったとして、上位貴族であるリディア様に対する態度ではありません。護衛であっても雇用主に対するのであれば敬意を持たなくては・・・」
「シェイラさんそこまでにして下さい。リョウマさんは、ゆきずりの私たちをたった一人で助けてくれた恩人なのです。私たちの護衛を皆殺しにした盗賊赤月を一人で壊滅させてくれました。荷台を見てください。赤月の頭目です。彼が助けてくれなくては、私もグレイスも、死ぬより酷い目に遭わされていたでしょう。私もグレイスも、彼の人間性と強さに好意を持っています。悪く言われるのは心外です。」
「そんな・・・わたくしは・・・」
若干の怒気を見せリディアは言う。
流石に赤茶髪さんも、下手を打ったことに気づいたようで、蒼白になっている。
仕方がない助け舟をだすか・・・ちょっと可哀想だしね。
「リディア、グレイスそこまで。別に僕は気にしていないからいいよ。それに二人のことを考えて注意しようとしてくれたようだしね。これ以上は可哀想だよ。」
「リョウマさんがそういうなら・・・」
リディアも鉾を収めてくれたようだ。
さて仕切り直そう。
「お初にお目にかかります。リョウマと申します。二人の護衛に雇われました。よろしくお願いします。」
そう言って頭を下げた。
すると赤茶髪さんは涙目で
「・・・こちらこそ事情を知らず申し訳ありませんでした。わたくしはシェイラ・テロアと申します。伯爵家の長女になります。お二方が敬語でないのであればわたくしにも同じでかまいません。いえ、是非話しやすいようにお願いします。呼び方もシェイラで良いです。」
うーん・・・名前の呼び捨ては僕にはハードル高いから、ここはやっぱり、
「わかった。申し訳ないけど敬語は苦手だから普通に話させてもらうね。シェイラさんと呼ばせてもらうから「別に呼び捨てでも・・」いやいやいやさん付けでお願いします。」
「・・・わかりました。」
ほっ。良かった。よし!この際だし・・
「ねぇ。やっぱりリディアとグレイスもさん付けで・・「リディア」「グレイス」・・わかりました。」
睨みながら言ってくるんだもん。
目力が凄い!僕がトホホ顔で溜息をついていると、シェイラさんがようやく、
「本当に仲がよろしいのですね。わたくしともよろしくお願いしますね。」
と笑顔になってくれた。
うむ!やはり美人は笑ってないと!
とそこで前の馬車が止まった。
どうやら着いたようだ。
うん?全然肝心なこと話してないんですけど!
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