第11話 僕の過去を話した結果

「ということで、僕が脱出したところに、姫様たちと盗賊がいたんだよ。後は知ってのとおり。」

 

 僕が話終えると、姫様たちは俯いて黙り込んでいた。

 

そりゃそうだよね。

 荒唐無稽な上に、今誓ったばかりの信仰対象の神セレスが、偽物だって言われたんだし。


「リョウマさん。ありがとうございました。」


 15分くらいたった後、おもむろにリディアさんはお礼を言った。

 ん?なんのこと?


「あなたが今語ってくれたことは、普通ならとても信じられないことです。しかし、私達はあなたの強さを見ています。そしてその性格もよくわかりました。それに一番重要なことなのですが・・王家と公爵家、教会が所有する秘匿情報があります。それは・・」


「待ってください姫様!。」


 語るリディアさんにグレイスさんが叫んで止めた。


「それは、外に出してはいけない情報なのでは!?」


 ごもっともです。

 しかしリディアさんは続ける。


「私は、リョウマさんを信じるに足る情報を握っています。それは、今から話す内容につながるのです。グレイス、リディア・リヒャルト・メイビスとして命じます。今から話すことは他言無用です。破れば死罪はまぬがれないと肝に銘じなさい。」


 えー知りたくないんだけど・・・僕は面倒事を予想して、生唾を飲み込むグレイスさんを尻目に顔を顰めた。


「リョウマさん、話を中断してすみませんでした。1000年前に、勇者や世界連合軍が神の加護を得て魔神を討つ・・これに関しては子供でも知っていることですが・・・秘匿されているのは魔神の名前・・・それは・・ジード。」


 あーなるほど。

 そこに繋がるのか。

 ていうか1000年前かい。


 「秘匿理由については、このジードの名前とともに、種族が魔族であった事が伝わっているからです。もし明るみにでれば、魔族に連なる系譜の種族が、迫害対象となりえるし、最悪戦争に発展する可能性がでてしまいます。」


 そりゃそうだよね。

 第2第3の魔神が出ないように滅ぼそう、とかアホな事言い出しそうな奴は絶対出てくるわな。


「リョウマさま一つお答えください。リョウマさまは貴族ですか?。」


 突然なんで?


「違うよ。こちら風に言えば平民になるよ。」


「リョウマさまは嘘を言っていません。後出しで申し訳ないですが・・・私は嘘を見抜くスキルを持っています。貴族ではないのに魔神ジードの名を知っている。これが何よりの証拠です。・・・ですがそれがなくてもあなたは信じられる・・・そう思うことができます。」 

 

大きく出たね。


「なんで?」


 僕が聞くとリディアさんは微笑んで


「女の勘です。」


と答えた。

 勘かよ。


「しかしそうなると・・・とんでもないことを知ってしまいましたね。」


 グレイスさんは疲れたように言った。

 そりゃそうだよね。


「セレス様がまさか偽物とは・・・こんな話誰も信じないし教会が目をつけてくるのは間違いない。まいったなあ。」


 グレイスさんが呟くとリディアさんは力の篭った眼差しで


「グレイス。私たちはセレス様の信徒です。であれば、お助けするのが本当の信徒すべきことでしょう。幸い、偽神ヴァリスはリョウマさんの標的のようですし。」


と笑顔で僕に振り向いた。


「それにしても、気になっていたのだが、勇者じゃないのはわかったが、なぜ迷子なのだ?」


とグレイスさんが聞いてきた。

 そりゃもちろん、


「だって、知らない穴に吸い込まれて!違う世界まで来て、帰り道わからない・・・迷子じゃないですか。」


と答えた。

 グレイスさんは呆れながらため息を吐き


「それは迷子とは言わないと思う。」


と言った。

 いいじゃんか!僕がそう思ってるなら。

 

 するとリディアさんが僕を見て


「リョウマさん。いくつかお願いがあるのですが・・・」


 リディアさんの言うお願いとは・・・

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