ブラウン
灰田 青
第1話
茶色のマントを体に巻き付け、砂嵐の中を歩いた。
行けども行けども、周囲の景色は変わらない。
ザザッという音だけが耳に響いている。
頭に取り付けたチューナーが、私の前に様々な幻覚を見せる。しかし、それはどうしたって他人事だ。
一体いつ終わるのか。
果てのない砂嵐と軋む体に絶望し、しかし、きっともうすぐだと己を奮い立たせた。
そうしてどれほどの時が経っただろう。
ついにその時はやってきた。
ああ、ようやく安息が訪れる…
*
よくここまで保ったよなあ。
軍手をはめた男性が息を切らしながら言った。
この大きいの何?
小さな子供がたずねた。
軽トラに荷を乗せると、男性はガラスをコンコンと小突いた。
こいつは、ブラウン管テレビというんだよ。
ブラウン 灰田 青 @kai-bgm
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