自主休校

勝利だギューちゃん

第1話

コロナさんが、居座っているので、

不要不急の外出は、自粛している。


鉄道業界も例外ではなく、運休も相次いでいる。


しかし、それでは通勤通学に影響が出るし、鉄道会社の人にも死活問題。

なので、最低限は運行されている。


ただ、ダイヤが異なり、有料特急は運休している。


で、俺は通学のために電車に乗っているのだが、空いている。

殆ど貸し切り。


途中の駅に着く。

人はいない。


そして思いだす。


「今日は日曜日だ。休みが続いで、感覚がなかった」


でも、せっかくだからと、この駅で降りる。

ここには、大きな公園がある。


緑が多い。


「眼鏡をふいて、綺麗にみよう」

手が滑った。

落とした。

割れた。


天国へと、旅立った。


帰りは・・・

何とかなるな。


デートスポットになっている。

(彼女いないけど。ちなみに募集していない。当分はいいや・・・)


公園に入る。

人が割といる。

考える事は同じらしい。


「塩谷くん」

名前を呼ばれる。

振り返る。


「委員長?」

そこには、クラスメイトの女子がいた。


至近距離なのでわかる。

それに、制服でわかる。

ここらで、緑のブレザーはうちだけだ。


「塩谷くん、どうしたの?学校は?」

「今日、日曜日なの忘れてた」

「自主休校?」

「だから、日曜日・・・って・・・」


委員長も制服を着ている。


「忘れた?今日は休日登校だよ」


忘れてた。


「なら、どうして委員長は、ここにいるの?」

「私は、覚えていたよ。だから、自主休校。君と同じにしないで」


なお悪い。


「ところで、塩谷くん」

「何?」

「私の名前は?」


委員長に訊かれる。

出てこない。


そういえば、クラスの名前殆ど知らないや。


「でも、委員長というのはわかるんだね」

「まあね」

「どうして、覚えてくれているの?」


クラスで、俺と彼女だけだな・・・

一重瞼は・・・


でも、それは言えない。


「おっ、覚えていてくれたんだ」

「何が?」

「私の名前は、仁恵。稲生仁恵(いのうひとえ)だよ」


アバウトな・・・


「で、塩谷くん、これからどうする?」

「今日?言わせる気?」

「だよね。行こう」


委員長の先導される。


「あのう、委員長」

「何?」

「お願いが・・・」

「何?」


言いにくいことを嘆願する。


「手・・・握ってほしい・・・」

「私たち、そんな関係じゃ・・・」


委員長は驚いている様子だと思う。


「そうじゃなくて・・・さっき眼鏡割ってしまって」

「コンタクトにしなかったの?」

「裸眼・・・なので、握ってもらわないと歩けない」


委員長は即答する。


「いいよ。そのかわり・・・」

「かわり?」

「下の名前で呼んで」

「仁恵さん?」

「さんは、いらない」

「仁恵?」


微笑んでいるのがわかった。


「じゃあ、行こう。塩谷幸喜くん」

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自主休校 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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