第126話5-27進む先に
玄武の守りは多分今まで会った誰よりもすごかっただろう。
でも向こうからは攻撃を一切してこなかった。
「まったく、何なのよあいつらって?」
文句を言いながら先に進む姉さんにそれでもシェルさんは難しい顔をして言う。
「四大悪魔って言ってたわよね? しかも悪魔の王らしいからあのジュメルのヨハネス神父が融合していた悪魔たちと同じって事だと思うわ」
「ヨハネス神父!?」
姉さんは驚きの表情をする。
そして唇をかむ。
「なんなんですそれは?」
僕はシェルさんにどう言う事か聞く。
するとシェルさんは一瞬姉さんを見てから話し始めた。
「その昔秘密結社ジュメルと言うとても厄介な連中がいたの。その中でも十二使徒と呼ばれる神父クラスの連中は特に厄介で世の中を破滅させるためにその全精力を投じていたわ。その中の一人、ヨハネス神父と言う最悪なやつがいて、そいつが異界の悪魔の王と融合して最後にはあの悪魔の神までこちらの世界に呼び寄せたの。何万と言う人々の魂を代価にね‥‥‥」
「なっ!」
何万もの人の魂だって!?
思わず驚きの声が洩れた。
するとシェルさんの後を引き継ぐかのように姉さんが話し出す。
「あの時は人類の脅威『狂気の巨人』をエルハイミが倒してくれた。でも力を使い切ったそこにあのヨハネス神父が現れあわやあの人の魂を喰らいつくそうとしたの。私は全ての力を使ってそれを阻止して約束を守り命を落としたのよ‥‥‥」
そう言う姉さんの表情はどことなく寂しそうだった。
「それって、ティアナ姫の伝説ですの?」
「そうね、エマの言う通り。あの後ヨハネス神父は逃げ去っちゃったんだけどね」
エマ―ジェリアさんがティアナ姫の伝説の話を確認するとセキさんが答えその後にそのヨハネス神父とか言うのが逃げて行ったことを教えてくれる。
「じゃあ、そのヨハネス神父と朱雀、白虎、そしてさっきの玄武がいたって事はもう悪魔の王はいないって事ですね?」
「そうね、でもこの先も気を付けて。抜けている所が有っても悪魔の王がいたと言う事には変わりないわ」
シェルさんはそう言いながら先を進む。
* * *
僕たちは階段を登り切り上の階に着いた。
そこはそれほど大きな部屋では無かったけど、立ち回りするには十分な広さが有った。
うっすらとした明かりの中を慎重に進んだ時だった。
『ふむ、玄武も倒されたか? まさか人間如きがここまで来るとはな』
「誰!?」
姉さんは声を上げる。
よくよく見れば聞こえた声は部屋の真ん中に座っていた。
それは立ち上がりながら僕を見る。
『その少年が魔王様のご所望か?』
立ち上がるその姿は竜?
いや、少し違う。
長い首、長いひげを持ち全身が鱗に覆われているも、竜のそれとは違っていた。
見た事の無いその容姿。
「四大悪魔は全て倒したわ。あなた一体何者?」
油断なくシェルさんはその竜を見る。
『ふむ、四大悪魔か。確かに四王はこちらの世界で全て倒されたようだが、彼奴等を統べる真なる王、この麒麟に出会ったが最後ぞ、人間ども!』
そう言って三又の槍を振る。
麒麟と名乗ったその悪魔は自分を真なる王と名乗った。
確かにその威圧的雰囲気は今まで味わった事の無いほど凄まじいものだった。
「おいシェル、何なんだあの化け物は!?」
リュードさんが思わず唾を飲む。
ちらっと見るリュードさんは瞳を金色に輝かせているから同調をしているのだろう。
だから麒麟の真なる力を分かっている。
「ほんと、あのヨハネスなんてもんじゃ無いのね? エマ、下がってなさい」
「セキ? それほどですの?」
エマ―ジェリアさんをかばうかのように瞳を金色にしたセキさんは前に出る。
ぴこぴこ~!
そしてアイミも同じく僕の前に出る。
それを見たキリンは器用にその顔をゆがんだ笑みにして言い放つ。
『さあ、死にたくなければその少年を引き渡せ。さすれば命だけは助けてやろう!』
「冗談! ソウマは私のよ!! 誰にも渡さない!!」
言いながら姉さんはなぎなたソードを構えるのだった。
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