第45話3-4リザードマンの王国
「はい、そこっ!」
「うわっっ!」
ガツンっ!
カン、からからから‥‥‥
姉さんに手に持つ木刀を弾き飛ばされ地面にしりもちをつく。
「あー、まだまだだねソウマは。あそこでフェンリルのフェイントに気付かないなんて。さて、今度はあたしが相手で稽古つけてあげるわよ? 肉弾戦と関節技教えてあげるから来なさい!」
「あ~、セキさん。関節技は私が教えますから大丈夫です。セキさんに関節技任せるとその大きな胸がソウマに当たりますから」
手痛く木刀を弾き飛ばされ手をフーフー吹きながら姉さんとセキさんの会話を見ている。
僕たちはリザードマンの国でベンゲルと言う集落に向かっている。
この間に毎日姉さんやシェルさん、セキさんに散々稽古をつけられているけどこの人たちって規格外に強いから僕は何時もボロボロになっている。
今まではそれでもエマ―ジェリアさんが回復魔法をかけてくれたりしてくれていたけどあの時以来まだご機嫌斜めのようだった。
今も目を合わせるとついっと他の所を見られてしまう。
「なになに? ソウマってエマが気になるの?」
「いやぁ、そう言う訳じゃないんですけどまだ怒っているみたいで‥‥‥」
姉さんとあれやこれや言っていたセキさんが僕の所まで来て手を差し伸べながら話して来る。
僕はセキさんの手を借りながら立ち上がりエマ―ジェリアさんをもう一度見る。
「あれ以来口もきいてくれないんですよ」
「あはははははっ! 男の子に下着を身られたくらいでエマったら!!」
するとエマ―ジェリアさんはこっちを向いてぷんすかと怒りながらやって来た。
「笑い事ではありませんわぁ! 男の子に、ソ、ソウマ君に下着を見られたのですわよ!? しかもか、顔まで押し付けられてですわぁ!」
やっと口をきいてくれたエマジェリアさんはそう言ってご立腹のようだった。
「あ、あのぉ、すみません。なんか僕が悪かったです‥‥‥」
「良いのい良いの、ソウマ謝らなっくて。聞けば油断して防壁魔法が解けていたのに気付いていなかったらしいわね、エマって? むしろソウマに助けてもらったんだから下着の一つや二つ見せてあげなさいよ」
「なっ////!?」
その後エマージェリアさんとセキさんの言い合いでしばし。
でもそれが終わったらエマ―ジェリアさんはまだ少し赤い顔で僕に話しかけて来てくれた。
「そ、その、ソウマ君はエッチな事覚えてはいけませんわ。それとあの時はありがとうでしたわ」
エマ―ジェリアさんはそう言ってまたプイっと向こうを向いて行ってしまった。
「えーと‥‥‥」
「ま、とりあえずこれで仲直りできたから良いじゃない? さて、ソウマ始めるわよ!!」
その後僕の悲鳴が上がるほどの稽古だった事は言うまでも無かった。
でも怪我はエマ―ジェリアさんが直してくれたんだけどね。
* * * * *
「ふん、どうやら連中のテリトリーに入ったみたいね? こそこそと」
「あら、セキ分かるの?」
オオトカゲで時折湿地帯を進んでいたらセキさんがすくっと立ち上がり周りを見る。
そしてため息一つ大きく息を吸い込む。
『ぐろろろぉぉおおおおおおおぉぉぉぉっ!!!!』
いきなり人では無い咆哮を上げる。
それは空気をビリビリと振動させ近くにいた僕たちでさえ驚くモノだった。
「いきなり何なのですの、セキっ!?」
「あーびっくりした」
「セキさん凄い雄叫びね?」
エマ―ジェリアさんも僕も姉さんも驚きセキさんを見る。
「いやね、リザードマンたちがちょろちょろとこちらの様子をうかがっていて気にくわなかったの」
そうセキさんが言った時だった。
ガサガサと草が分けられ数体の二足歩行のトカゲが出てきた!?
「力ある者よ、どうぞお怒りを鎮めてください」
そのトカゲの人はセキさんの前で跪きそう言った。
「コソコソと気に入らない! 用事があるならちゃんと出て来なさい!!」
腰に手を当てセキさんはそう言うけどまだ苛立っている様だ。
僕でさえわかるその威圧感は本気で虫の居所が悪い異様だ。
「すみませぬ。最近悪魔が頻繁に出回っているので我々も殺気立っていました」
「悪魔?」
セキさんではなくシェルさんが思わず聞き返す。
そして僕と姉さんを見る。
まさか、ミーニャが「ハーピーの雫」を探させてリザードマンたちの集落へ悪魔たちを行かせていたの?
「我らも用心をしていますがあ奴等はいきなり現れるもので困り果ておりました。そんな中力ある気配が有りましたもので様子を見に来ました」
「だったらコソコソしないでちゃんと来なさい。これ以上やられたらドラゴンブレスでこの周辺を焼き払っていたわ!」
セキさんが語気荒くそう言うとリザードマンの人たちは更に低頭して許しを請う。
「やはり竜の化身様でしたか。どうか怒りを鎮めてください」
「ふん、まあいいわ。それよりその悪魔の話を詳しく聞かせなさい」
セキさんがそう言うとリザードマンたちはリザードマンの国、ベンゲルへと僕たちを案内するのだった。
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