98話 計画
僕はどうすれば幸せな家族になれるのか気になった。千春ちゃん、千夏ちゃん、千秋ちゃん、千冬ちゃんを娘としたい。
魁人さんを落とすのが先だろうか。いや、それは違うのだろう。冷静に考えて、僕は12歳、小学6年生である。小学生に告白をされたとして、分かったと言う社会人はこの世に存在しないだろう。
それに魁人さんはあんまり恋愛をしたいと思っているタイプでもなさそうだ。そんな人に年下の僕がグイグイ行っても苦笑いをされて流されて終わりだろう。
ならばどうだろうか。
『――カイト! 千花がママになってくれたら我、嬉しい!』
と千秋ちゃんが魁人さんに言ったとする。彼は慌てふためくだろう。千秋ちゃんは素直だしね。
『――魁人さん、千冬、千花さんがお母さんになってくれたらとても嬉しいッス』
千冬ちゃんが魁人さんにそう言ったとする。無垢な彼女が言えば魁人さんも否定はできないだろう。
『――魁人、私、千花をママと慕っているわ』
気の強い千夏ちゃんが言えば、魁人さんも無下には出来ないだろう。
『――お兄さん、千花ちゃんをお母さんにしてみない?』
千春ちゃんがそう言えば全体的に説得力が増す。
将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。という言葉ある。要するに最大の目的を討つには周りから落としていけと言う意味だ。僕が四人のママとして、一緒に居たいとなれば、自然的に魁人さんも逃げられない。
魁人さん、恋愛をグイグイやろうとする感じじゃない。寧ろ、痺れ気を切らして押し倒されそうな顔してるし、娘からまずは攻略しよう。
よしよし、この方針で動こう。
◆◆
「魁人さん」
「おー、千花ちゃん」
休日の早朝。偶には家の前の掃除でもしようと思って箒で掃いていると、千花に会った。千花ちゃん、友達があんまりいないのか……千秋が最近、めっちゃ話しかけてくるって言ってたな。
俺にLineも凄いしてくるし……寂しいのかもしれない。
「魁人さん。早朝から……クイズしません?」
「構わないぞ」
「理想のママになるにはどうすればいいか……という問題です」
「……結婚して、幸せになりたいと言う解釈であってるか?」
「はい……ただし、既にパパになる予定になる人、つまりは結婚相手には娘が居て、娘とママになりたい人は同級生とします」
「ただしから、大分クイズのテイストが変わってない?」
「因みにパパ枠には現在妻は居ないです」
「凄い、複雑な問題な気もするが……世間体が厳しそうな感じするかな……?」
「ですよね。それは予想通りです」
「え? 予想通りなの?」
「はい。世間体は確かに強敵ですが……僕はもう周りの反応に左右される人生はいやなのでそれは考慮しないとして……やはり、 将を射んと欲すれば先ず馬を射よ……か……」
勝手に納得をしている千花。そう言えばこの子は百合ゲー世界だと主人公だったな。この世界はゲームではないから、あんまりゲーム基準をこの子にあわせるのはよくはないが……正直、何を考えているのかはよく分からないと言うのが本音だ。
全然ゲームとのイメージが違う気がする。マジで何を考えているのか分からない感じだ。
「やはり、先ずは馬を……では、僕はこの辺で失礼します。ライン返してくださいね」
「あ、うん」
千花が帰って行った。
「お兄さん」
「千春、おはよう」
「おはよう……千花さんと何を話してたの?」
「いや、難しいクイズを出されただけだ」
「……そか。お兄さんは千花さんをどう思ってるの?」
「娘の友達かな?」
「確かに。それであってる……でもさ、うちと千花さんってキャラ被ってるよね」
「え?」
被ってるか? 全然そんな感じしないが……
「うちのミステリアスで大人な感じの雰囲気が若干霞そうで心配」
「……あ、確かにな」
ミステリアス……? 大人な感じか……まぁ、そうか?
「ミステリアスな感じ出されると、本当に困るよ……あ、お兄さん、朝食はスクランブルエッグ作っておいたから食べて」
「ありがとう」
「あと、卵焼きも作ったから」
「卵パーティーだな」
「卵しか、扱えないからさ……それ以外やろうとすると千夏と千秋に凄い止められるし」
「そか。でも、俺は卵好きだぞ」
「だよね。沢山、うちの卵料理食べて」
ミステリアスではないと思うが……下手に言うと物凄い不機嫌な顔で反応されそうだから何も言わないでおこう。
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