第3話 仲間たちのステータスの確認
12月22日(火曜日)午後8時――仲野区
タイムリミットまで、5日と21時間。
俺、十朱、銀二、雪乃の四人は、新たな地区である仲野区へ侵入する。
まず、現時点での他の三人のステータスの確認だ。
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〇名前:
〇レベル(聖龍):2
〇ステータス
・HP20000 ・MP3000 ・筋力5023 ・耐久力5200
・俊敏性2811 ・魔力2119 ・耐魔力4966 ・運400 ・成長率――
〇種族――聖龍(ランクD――幻想種)
ランクアップまでのレベル2/40
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累積があるランクD当時の俺を軽く超える非常識極まりないステータス。これは、おそらく十朱が選択した種族の系統樹が殊の外強力なんだと思う。
スキルとして【竜化】がある。あれを使うと怪獣のような姿になって、身体能力が著しく向上するんじゃないかと思う。鍛えればどこまで伸びるのか未知数の奴。
次が銀二だ。
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〇名前:
〇レベル(怨鬼):1
〇ステータス
・HP8000 ・MP8000 ・筋力2400 ・耐久力2187
・俊敏性2227 ・魔力1800 ・耐魔力2423 ・運1500 ・成長率――
〇種族――怨鬼(ランクD――鬼種)
ランクアップまでのレベル1/40
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素で2000オーバー。非常識に強い。しかも、スキル――【鬼化】を保有しており、著しいステータスのアップが見込める。そのスキルで、変身前とはいえキラを圧倒していた。
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〇名前:
〇レベル(白虎):4
〇ステータス
・HP2000 ・MP1200 ・筋力800 ・耐久力658
・俊敏性1200 ・魔力300 ・耐魔力700 ・運100 ・成長率――
〇種族――白虎(ランクE――幻想種)
ランクアップまでのレベル4/30
――――――――――――――
他の二人と比較しては大分劣るが、それは十朱と銀二が非常識すぎるだけで、雪乃も十二分に普通じゃない。
銀二が普通じゃない理由は、予想くらいつく。あの『鬼将が種族覚醒条件を満たし、系統樹がノーマルからレアになった』との運営側からの通告だ。何らかの条件を満たして、覚醒を果たし、今の強さを得たんじゃないかと思われる。
一方、十朱は端から覚醒状態となっていたと考えれば全ての辻褄が合う。覚醒条件は今のところ不明だし、狙ってできる性質ものなら覚醒などとは言われてはいまい。
スキルはやはり、【幻虎化】であり、ステータスが跳ね上がる的なものなんだと思う。
まず、俺だけ仮面を被っているのはしまらないという意味不明な理由から、十朱のボスの右近から十朱達にも仮面が配られた。十朱は獅子面、銀二が狒々面、雪乃が虎面ってわけだ。
この仮面は全て【フォーゼ】のキャラ。理由もなく仮面の装着を義務付けるような奴じゃあるまい。何か理由があるんだろうが、考えてもわかるはずもないし、正直
ではパーティーでの実際の悪魔討伐について。
この仲野区の悪魔は、騎兵隊15000名だ。騎士階級だけあり、ステータスは平均6000~8000近くもあり、十朱はともかく銀二や雪乃にとって十分すぎるくらいオーバーキル的だった。
とはいえ、逆に俺も【ジェノサイドバンパイア】とかいうこの心底イカレきった種族のせいで、ワンパンで辺り一帯の悪魔を撲殺してしまうしまつだ。ゲームによくあるパーティー戦略なんてものが立てられなくなってしまっていた。
そこで俺が束縛系のアビリティで拘束し、倒させるしかないんだが、これにも問題が二つ。
俺が束縛し、無抵抗となったものに十朱達が止めをさせるのかという問題。俺はその点、悪魔を既に害虫程度にしか見れていないから、大して苦にもならない。
しかし、俺の感覚が世間一般とは大きくずれていることは、一ノ瀬や和葉と少し冒険したときに十二分に思い知った。
もしこれができないならやはり、一緒についてきても邪魔になるだけだ。お帰り願うとしよう。
二つ目が、俺が止めを刺さなければ、経験値を獲得できなくなる恐れがあること。
これは俺の勘だが、このウォー・ゲームとやらに勝利するためには、俺が期限までに全悪魔を残さず殺し尽くさなければならない。それほどまでに今のバアルと俺の実力には天と地ほどの差がある。
故に、やはり俺に経験値が入らない仕組みならば、彼らの同行は遠慮させてもらうことにした。
全員に俺の事情を説明し、実際に条件を満たさなかったのなら連れてはいけない旨を伝えると快く受け入れてくれた。
最初は一番弱くレベルが上がりやすい雪乃で試すことにする。
都民の死体を的にして遊んでいたクソ悪魔騎士数体を束縛系のアビリティで捕獲し、雪乃に攻撃の指示を出した……わけだが――。
自分で指示しておいてなんだけど、正直、引くわ。ドン引きだわ。
だってよ。命乞いをする悪魔騎士共に戸惑いの表情すら浮かべず、逆に薄ら笑いを浮かべて、奴らから奪った槍でめった刺しにしたのだ。
「やったよ!」
槍を上げて勝利宣言をする雪乃に、
「よくやった」
笑顔で右手を上げる銀二と
「そうだぜ!」
親指を立てて爽やかに微笑む十朱。
「ありがと!」
俺にも褒めて欲しいのか、血のりでべったり染まった槍をブンブン振って無邪気に微笑んでくる狂少女。
この光景を視界に入れて、俺は自分の致命的なほどの勘違いを明確に自覚していた。
『アキト、こ奴らそなた同様、絶対、頭がおかしいのじゃ』
(あいつらが頭おかしいってのには、俺も素直に同意するが俺までというのはどういう了見だ?)
『だってそなたが、一番頭がおかしいし』
この駄猫が!! まあいい。これでこいつらに最低限の覚悟があるのはわかった。あとは実験にのめり込むこととしよう。
――約3時間経過。
俺が直々に悪魔を殺してレベルを上げる方法、俺がアビリティで束縛して他の一人が悪魔を殺してレベルを上げる方法、俺が束縛して他の全員で攻撃してレベルを上げる方法など様々なパターンで検討した結果、経験値の獲得に次の法則を発見することができた。
一つ、最後に止めを刺さなくてもその殺害に寄与した限度で、経験値は獲得できること。
つまり、致命傷となる傷を与えたり、束縛等の行動不能にさせることは殺害に大きく寄与していると見なされ各々満額もらえる。一方、掠り傷を付けただけではほとんどもらえない。
二つ、血液の吸収はそれだけで通常と同等に近い経験値を獲得できること。
この法則を発見してから、死なない程度に血液を俺が抜き取り吸収し、行動不能とした上で、それを十朱達に倒させることにした。これなら、血液吸収分の経験値と行動不能にしたことによる経験値で倍の経験値が入ることになるから。
こうして、要領を掴んだ俺達はサクサクと悪魔を討伐し、大量の経験値を獲得していく。
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