会話35.ファーストキス

「そういえばさぁ、私のファーストキスの相手ってパパなのかな? それともオウカ?」


「んー……たぶんどっちも違うんじゃないか?」


「え? オウカはファーストキスの相手は私なのに?」


「それも実は違うな」


「え?! 誰としたの?! 小学校の時にオウカとちゅーした覚え有るんだけど私!!」


「……お前覚えてねえの?」


「……へ?」


「俺らのファーストキスの相手、たぶん同じだぞ?」


「……まさか」


「そ、アトリさんだ」


「お姉ちゃん? オウカ、いつ彼氏のいるはずのお姉ちゃんとキスを……浮気?!」


「なんでだよ。ガキの頃の話だよ」


「あんまり覚えてないんだけど、なんで私もお姉ちゃんとキスを?」


「んー、まぁガキの頃にアトリさんが俺のことからかってきてさ、俺もムキになってたら……」


「お姉ちゃんにキスされたと?」


「そ。あの人ってキス魔だったろ。俺の友達も何人かキスされてるし」


「でも、なんで私も?」


「俺とアトリさんのキス現場目撃したアスカが『オウカずるい! 私もおねーちゃんとチューする!!』ってギャン泣きしてアトリさんにキスしてた」


「……え?」


「アトリさん、誰かからキスされたのはアレが初めてだって言ってたなぁ」


「えー……覚えてなーい……」


「んで、そのあとにアスカは俺ともキスした」


「……それはなんとなく覚えてるかも」


「なんでだよ、前後も覚えてろよ」


「お姉ちゃんは好きだったけど覚えて無いなぁ。そっかー……お互いにファーストキスはお姉ちゃんだったかー……」


「まぁ、それ以来キスなんてしてないけどな」


「……じゃあお互いにセカンドキスの相手ってことだねー」


「うっ……。そだな」


「どしたの? 急に赤くなって?」


「いや、ガキの頃の話なのに、なんか改まって言われるとすげー恥ずかしくなってきた」


「あははー。じゃあさ、大人になったし……改めてしちゃう?」


「……それはまだ、やめとこうか」


「ちぇっ、ざーんねん」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る