界隈のファン層を広げるだろう力作

　VTuberという存在を知りつつも彼らの配信に触れることはなく。
　しかしweb小説の中でだけ接してきた私でもすんなりと物語に入り込め、界隈における用語を自然履修出来るところがすごい。
　V関連の物語はどうしても話題の中心が配信よりも主人公含む登場人物（VTuber）の中の人同士の関係性に描写が偏りがちと個人的に感じていたが、この作品はどちらも大切に、丁寧に描写していることが上記感想に繋がる。

　またサブキャラクター（リスナー）も物語を彩る登場人物として確たる地位を確立しているところも凄いの一言。

　掲示板形式の書き込みは一見すると某有名匿名掲示板の無秩序さを演出しながら、件のサイトで自動的に附されるトリップ部分を上手く用いることで発言者を察せられる。

　それが後々の描写に繋がると初めて気づいた時に、どうしてもこの場で思いを吐き出したくなった。