幕間5 侯爵令嬢もパーティーに参加する※エミーリア視点
「エトのお見合いパーティーについて?」
エトムント殿下の言っていたパーティーが気になり、クリスなら詳しい事を知っているだろうと彼の執務室を訪れた。
「急にどうしたんだ?」
来客用のソファに腰掛ける私の隣に座ったクリスは首を傾げて尋ねてくる。
「さっきエトムント殿下に会って教えてもらったのだかど気になっちゃって」
理由を言うと眉間に皺を寄せて怪訝な表情になるクリスがいた。
最近気付いた事だけど彼がこの表情をする時は大抵ヤキモチを妬いている時だ。
「パーティーへの参加条件は婚約者が居ない事なのでしょう。リーザも招待されるのか気になったのよ」
「ああ、なるほどな」
パッと明るい笑顔を見せるクリス。
こんなに分かりやすい人だったかしら。
少なくとも婚約者になる前はもっと上手に自分の気持ちを隠せていたと思うのだけど。
恋人としては分かりやすいのは嬉しいけど、王族としては駄目な気がする。
「ビューロウ伯爵令嬢も招かれる事になっている。婚約者の居ないご令嬢は強制参加だからな」
「本人は凄く嫌がりそうね」
「顔だけ見せてくれたら十分だと伝えておいてくれ」
「分かったわ」
エリーザの事だ。参加するのも嫌がりそうだけど、王族に逆らえるわけがない。
終わった後に愚痴を吐かれそうだと苦笑いを見せているとクリスから「リアも来るか?」と聞かれた。
「私はクリスの婚約者なのだけど…」
「当たり前だ」
「じゃあ、どうして私を誘うのよ」
「ビューロウ伯爵令嬢の付き添いとしてくれば良い。出来れば彼女の暴走を……いや、なんでもない」
エリーザがエトムント殿下に余計な事を言わないように見張っておいて欲しいのね。
誤魔化すように目を逸らすクリスの頰を抓った。
「心配しなくてもリーザは人前で暴言を吐いたりしないわよ」
「今日、目の前で不敬を連発していたぞ」
「私達しか見てなかったからよ、たぶん…」
幼馴染で大切な友人だけど、いつエリーザが爆発するか分からない部分がある。
「王族としての頼みだ。ビューロウ伯爵令嬢の付き添いをしてくれ」
「そこで王族の権限を使うのは卑怯よ」
「当日は俺も参加するし、美味しいケーキも用意する!駄目か?」
まるで少年のように聞いてくるクリスに深く溜め息を吐いた。
断らせる気ないくせに。
「分かったわ」
「良かったよ。じゃあ、この話は終わりな」
腕を引かれて抱き寄せられた。いきなりの事に固まっていると「折角来たんだ。恋人らしい事をしよう」と楽しそうな笑みを浮かべる彼と目が合う。
「………少しだけよ」
「分かってる」
ゆっくりと近づいてくる彼を静かに受け入れた。
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