第10話 友人からの忠告②
「それでエトムント殿下と親しくするのが駄目ってどういう事なの?」
エリーザと二人で話がしたくていつものガゼボに行くと話を切り出した。
「もしかして授業中ずっと気にしてた?」
「当たり前でしょう」
もやもやしていたせいで碌に授業を聞いていなかった。問題はないけど教師には悪い事をしてしまったと思う。
即答するとエリーザは苦笑いで「余計な事を言ったわ」と呟いていた。
「最近、リアとエトムント殿下の噂が流れているのよ」
「え?」
「ほらエトムント殿下って女嫌いでしょ?それなのリアには親し気に話しかけている。二人の関係を疑う人がいるのよ」
その可能性を考えていなかった。
エトムント殿下が婚約者を探しに来ている事は公表されていないが、女嫌いで婚約者が居ない事自体は貴族なら誰でも知っている事だ。
女嫌いの彼が私と普通に話していれば特別な関係を疑う人が出てくるのも頷ける。
当たり前のように話しかけられるから完全に油断していたわ。
「リアにはクリストフ様との噂もあるし、二股をかけているって噂まで一部であるの。まあ、二股疑惑に関してはクリストフ様を慕っている貴族が流そうとしているみたいね」
「それは……」
「馬鹿王子の件もあるから下手に騒ぐ人は居ないけどこのままだと絶対に面倒な事になるわ」
久しぶりに真剣な目をするエリーザを見た気がする。
それだけ私の事を心配してくれているのだろう。
「リアとクリストフ様が婚約すればエトムント殿下との噂は消えるし、王太子の婚約者相手に二股をしていると騒ぐ人も居なくなるわよ」
クリストフ様との婚約。
どうやら逃げてきた事と向き合う必要があるらしい。
気落ちしている私を見たエリーザは普段通りの揶揄うような笑みを見せてくる。
「あともう一つあるのよね」
「まだ何かあるの?」
「実はリアがクリストフ様とエトムント殿下、どっちを選ぶか賭けている貴族も多いのよね」
「は?」
「私はクリストフ様に昼食一ヶ月分を賭けてるから勝たせてね」
先程のまでの真剣な雰囲気を吹き飛ばす明るい笑顔で馬鹿な事を言い出す友人。
彼女の言っている事を理解するのに一分程かかった。
「嘘でしょ?」
「どうかしらね」
ああ、これは本当の事なのね。
彼女が私の事をよく分かっているように、私も彼女の事を分かってしまうようだ。
与えられた情報量の多さに頭が痛くなってくる。こめかみを押さえていると肩を軽く叩かれた。
「大丈夫よ、賭けをしている人達はみんなリアの味方だから」
味方なら賭けをしないでほしいですわ。
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