第23話 計画の裏側①
目の前には陛下、王妃様、そしてクリストフ様。
こちら側の席にはお父様、お母様、私。
この光景を見たら縁談の場と勘違いされそうですね。
「では、これから
陛下の声に全員が頷きます。
もう婚約者様は馬鹿、子爵令嬢は阿婆擦れが共通認識になっていますね。
陛下まで呼ぶとは思いませんでしたけど。
「父上。リアの話ですと先に行われる学園主催のダンスパーティーにて馬鹿が行動を起こすみたいです」
「うむ。私も影から報告は受けておる」
「本当に馬鹿ね。育て方を間違えたわ」
皆さん、家族に対して辛辣ですね。
それにしてもここまで呆れられているとは婚約者様もお仕舞いでしょう。
「さて、馬鹿殿下とリアの婚約の件ですが当然こちらに不利にならないように破棄してくれますよね?」
「そうね。うちの可愛いリアちゃんに怪我をさせたのだから当然よね?」
「も、もちろんだ!」
うちの家族は笑顔なのに怒りやら殺気が滲み出ています。相手は王族ですよ。しかも彼らは被害者のようなものです。
これ以上の不敬は見逃せません。さっさと話を進めてしまいましょう。
「ダンスパーティーではお馬鹿さんが阿婆擦れさんをエスコートされる予定らしいです」
「婚約者を放置して他の女性をエスコートか。馬鹿だな」
「父上、あいつが馬鹿なのは今更です。それよりもリアのエスコートはどうされるのですか?」
「私がしますのでクリストフ殿下は大人しくしててくださいね」
期待を込めた瞳で見てくるクリストフ様をバッサリと切り捨てたのはお父様でした。
流石に私まで婚約者様のような真似は出来ませんからね。当然の事です。
「そうか…。では、その後の話をしよう」
若干しょんぼりとするクリストフ様に申し訳ない気持ちになりながら首を縦に振って、話を切り出す。
「お馬鹿さんは全員が入場し陛下の挨拶が終わり次第、私に婚約破棄を言い出すみたいですよ」
「婚約者を蔑ろにした挙句、大勢の前で婚約破棄をするとは愚かな馬鹿だ」
私の言葉に陛下が頭を抱えた。
立派なご両親やお兄様がいて、どうしてあんな風になったのか不思議でなりません。
「リアの計画だと馬鹿が話し始める前に婚約破棄を叩き付けるのだな?」
「その予定でございます」
「では、私はリアが話を切り出せるように取り計らおう」
「挨拶が終わった後にリアに話を振ってあげたら良いですわ」
「うむ、そうする事にしよう」
「ありがとうございます」
陛下と王妃様の言葉に頭を下げる。しかし、お二人とも申し訳なさそうに笑うだけでした。
「馬鹿に対する処罰はどのようにするおつもりですか?」
父の言葉に陛下と王妃様は顔を見合わせる。
小さく頷き合った後でこちらを向いた。
「もう既にあれを息子とは思っておらぬ」
「えぇ。学園を卒業後、すぐに王家から除籍する予定ですわ」
本当に除籍になるのですね。
確かに王族としての公務もやらず女性の事と遊ぶ事ばかりを考え婚約者を蔑ろにする方ですから。
このままでは王家の恥となりましょう。
「王族として成すべき事を成さぬ者に王族たる資格はない」
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