第19話 やらかした
「はぁ…」
「ため息多すぎ」
本日、何十回目かの溜め息に反応したのはエリーザだった。
良くない事だと分かっていながら教室の机に突っ伏す。
「やらかしたわ」
「クリストフ殿下との噂のこと?」
「えぇ…」
私が悩んでいるのは
自分とクリストフ様の噂についてだ。
先の一件は食堂という事もあり多くの人に目撃されてしまった。そのせいで私とクリストフ様が実は恋仲なのでは?という噂が出回っているのだ。
「別に良いじゃない。批判してる人いないでしょ?」
「それがもっと問題よ」
クリストフ様と私の関係について批判されるかと思ったら逆に受け入れられ応援されているという状況なのだ。
知らない方に応援してますって声をかけてられた時は卒倒するかと思った。
「どうしましょう」
「さっさと馬鹿と婚約破棄して、クリストフ殿下と婚約しなさいよ」
「出来るわけないでしょ」
「周りはそれを望んでるわよ」
顔を上げれば私達の会話を聞いていたクラスメイト達が揃って頷く。
味方がいない。味方だと思っていた人達が敵になってるわ。悲しい。
「なにが問題なの?」
「私に婚約者がいる事」
「破棄するでしょ」
「その婚約者の兄と恋仲疑惑がある事」
「応援されてるじゃない」
確かにそうだけど、そうじゃないでしょ。
ここは学園だから良いけど、社交界に出たら批判の嵐よ。下手したらお父様の立場まで危ぶまれてしまう可能性だってあるのに。
「クリストフ殿下がリアを婚約者にしたいって言ったら断るの?」
「……断りたい」
「それ断るつもりがない人の言葉よ」
「とりあえず今は婚約破棄に専念したいの!」
全員で逃げたなって顔で見るのやめて。
クリストフ様との事は後でちゃんと考えるわ。
そもそも婚約して欲しいとも言われてないのに周りが騒ぎ過ぎているだけだ。
「でも、クリストフ様との噂は婚約破棄する為には邪魔よね」
「そうね」
「馬鹿がそれを利用しないとも限らないし」
全くもってその通りだ。
婚約者様の頭で考えられなくても子爵令嬢が変な知恵を授けるかもしれない。
どうやら彼女は悪知恵を働かせるのが得意みたいなのであり得ない話ではないのだ。
ただクリストフ様との件は幸いにも目撃者が多い。
その方々が味方になってくれさえすれば問題にはならないだろう。
「大丈夫よ。リアの婚約破棄を応援してる人たちは多いわ!」
「リーザ」
「ついでにクリストフ殿下との仲を応援してる人も多いからね!」
それは余計なお世話よ。
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