第12話 生存報告
カナ様と一緒に猫の集まりに参加することになった僕。
空き地に集まっている猫たちは僕に敵意を向けている。
猫の集まりに人間がやってきたのだから警戒されるのは当然だ。
僕はできるだけ猫たちを見ないようにしながらカナ様についていった。
「よう、新しい飼い主か?」
土管の上にいる三毛猫がカナ様に話しかける。
カナ様は土管の前で止まると彼にこう言った。
「ええ、そうよ。悪い?」
「いや、別に悪くはねえよ。ただ少し心配なんだよ。前の飼い主みたいなことになるかもしれねえだろ?」
カナ様はふんと鼻を鳴らす。
「前の飼い主の話はしないで。あれは仕方なかったのよ」
「そうだな。あれは仕方なかった。さて、そろそろ始めるか。今回は人間がいるが、まあ別に聞かれても問題はない。はい、じゃあ、順番に近況報告をしてくれ」
猫の集まり。
夜中に猫たちが集まって会議をする。
会議の内容は不明……というか、理解しようにも猫語が分からないから理解できない。
とまあ、そんなイメージがあったが、どうやら月に一度生存報告をしているらしい。
あとは今日のごはんはなんだったとか、月がきれいだねーとか世間話がほとんどだった。
「よし、じゃあ、今回はこのへんで終わろう。解散!! ……あっ、そうだ。ミ……じゃなくて、カナ」
「なによ」
カナ様が例の三毛猫と何か話している。
いったい何の話をしているのだろうか。
「お前の新しい飼い主はお前のことを大切にしてくれそうか?」
「大丈夫よ。あいつは人間より猫の方が好きみたいだし、思ったより使えそうだから」
どっちが主人か分からねえな。
「そうか。まあ、何か困ったことがあったら言ってくれ。いつでも助けになるからよ」
「ありがとう。じゃあ、またね」
カナ、今度はうまくやれよ。
カナ様が僕のところにやってくる。
なんだか少しだけ悲しそうだ。
「どうかしましたか?」
「ううん、なんでもないわ。さぁ、とっとと帰るわよ」
三毛猫はカナ様の方をじっと見つめている。
もしかしてカナ様に気があるのかな?
僕はそんなことを考えながらカナ様と共に帰宅した。
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