第10話 〇〇様

 黒猫様、気に入ってくれるかな?

 うーん、それはまだ分からないな。

 まあ、とりあえず声に出してみよう。

 黒猫様にふさわしいその名を。

 僕は黒猫様にふさわしい名前を声に出した。

「……カナ」

「は?」

 あれ? 聞こえなかったのかな?

「黒猫様は今からカナです。カナ様ー」

「うーん、カナねー。カナ、カナ……カナ」

 あ、あれー? もしかして気に入らなかったのかな?

 僕が冷や汗をかいていると、黒猫様は僕にこう言った。

「まっ、しばらくはそれでいいわ。上出来よ、加藤」

「え? ほ、本当ですか?」

 なんでそこで確認するのよ。

 素直に喜びなさいよ、まったく。

「ええ、本当よ。それじゃあ、おやすみなさい。夜になったら起こしてちょうだい」

「は、はいっ!」

 やった! なんだかよく分からないけど、気に入ってもらえたようだ!

 ダメとか言われたら今頃ショック死してただろうなー。

 そんなこんなで黒猫様は今日からカナ様になりました。

 カナ様、これからよろしくお願いします!

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