王都では、事件のことで衛兵達はもちろん、この二人も慌ただしく動いていた。レフトンの側近のエンジとライトだ。レフトン抜きで二人で王都での目撃情報を探っていた。

「怪しい女を見かけたというのはどこだ！？」

「ええと、向こうで男と走ってました」

「その、怪しい女性はどこで見かけたのですか！？」

「うーん、男と一緒だったかな」

二人は素早く迅速に聞き込みを行い続けたかいあって、目撃情報を多数聞いたが、居場所を特定できるような情報は耳に入らない。

「くそ！　奴は一体どこにいったんだ！？」

「目撃情報を整理すると人目につかない場所を選んで行動している可能性が高い。王都は広いからそういう場所は結構あるんだよね」

「馬鹿な、あの女にそんな小細工をやってのけるだけの頭なんて無かっただろ！」

レフトンの側近として支えるため、ソノーザ家の屋敷でワカナが王族にも悪口を言える姿を見ていた。二人の目からして見れば、どうみても馬鹿そのものにしか見えない。無知なのだ。

「彼女には、ね。おそらく、一緒に行動している男の入れ知恵だろう。学生くらいの男と一緒に行動している様子を多くの人が目撃している」

「奴を逃がした男のことか。どうやら奴の味方のようだな」

エンジは忌々しく思う。ワカナを逃がして騒ぎを起こした男に、憤りを感じずにはいられない。

「うん。これで復讐のために連れ出したという可能性が少し低くなった。彼女の味方なら面倒なことになりそうだ」

「面倒なら今がそうじゃないか。これ以上があるというのか、冗談じゃない。一刻も早く捕まえなければ！」

エンジは吐き捨てるように愚痴をこぼす。二人は互いの情報を交換して再び別れて行動した。

「……まだ、終わらないのか？」

一人になったライトは空を見上げ呟いた。

「父さん。ソノーザ家の因縁はまだ続くのかな？」

今は亡き父を思い焦燥感を感じる。

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