第131話 二日?

ソノーザ家を断罪した裁判から二日ほどたった。王宮の一室にて、カーズ・レフトン・ナシュカの三人の王子達が集まっていた。三人の顔はとても穏やかだった。


「終わったな………」


「おう………」


「そうだね………」


裁判の用句実にソノーザ元公爵ことベーリュ・ヴァン・ソノーザは大罪人として処刑され、その妻ネフーミは修道院に送られた。ベーリュはもちろん公開処刑という形で多くの人たちに罵声を浴びせられながら首と胴体を切り離されるという惨めな最後を迎えた。


ネフーミも悲惨なことになったと言える。彼女の送られた先はウィンドウ王国で一番厳しいといわれる修道院だ。あまりの厳しさに自殺者や発狂する者すら出るといわれる様なところらしい。その処遇には誰も同情はしないが生き地獄を行くことだろう。


次女のワカナは家がなくなったため平民として生きていく。しかも、親戚の誰もが引き取ろうとしないため、一人で生きていくことになるのは確定している。今は留置場に謹慎処分となっているが、解放されたらされたで新たな苦難を過ごすだろう。ワカナの性格は最低最悪だが、それは親の影響だと考えられると彼女も被害者だったのかもしれないが、誰も救うことはできないし救おうとも思わない。今も行方不明の長女と違って。


「サエナリア………」


「言っておくが馬鹿兄貴よ、今更反省してもあの人に会う資格はないぜ」


「分かっているさ……」


カーズは元婚約者に対して思いをはせるが、レフトンに皮肉を言われる。それに対してカーズは自嘲するように薄く笑う。そして、そんなレフトンをナシュカは怪しいものを見るような目で睨む。


「………兄さんはサエナリア様の居場所を知っているんじゃない?」


「本当か!? レフトン!?」


「さあ、どうかな? ていうか、知ってどうするよ?」


「「それは…………」」


疑問をぶつけるナシュカと身を乗り出して驚くカーズだったが、そんな二人を前にしても掌を晒して肩をすくめてみせるレフトンは聞き返す。すると二人は言葉に詰まってしまう。


「もう一度言うが、兄貴がサエナリアさんに会って謝る資格はねえよ。あの人のノートを写してただけのくせに成績優秀何て言われてた兄貴じゃさ」


「…………」


レフトンの言っていることは事実だ。レフトンの言葉に何も言い返せないカーズは黙るしかない。


「ナシュカも貴族に戻ってほしいだけなら諦めろよ。確かに彼女は有能だが、それしか引き戻す理由がないなら無理強いを強いるな。そんなんじゃ婚約することになったバイラちゃんにやきもち焼かれるぜ?」


「! そ、それは分かってるけど……」


レフトンの言う通りナシュカは側近の少女だったバイラを婚約者にしたのだ。一か月前にもう一人の側近と三人で心の内をさらけ出し合った時に告白までされて、そのまま受け入れたのだ。婚約手続きも一か月の間に済ませてしまっていた。

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