「俺この間うちゅう旅行に行ってきたんだよ」

夏休み明けの友達が突然とんでもないことを言い出した。

「宇宙旅行って……何の訓練もしていない一般人が行けるわけないだろ……」

「でも行ったんだからしょうがないだろ？」

「本当に行ったんだったらそのときの話を何かしてみろよ」

「言われなくたってするよ。そのためにお前に話しかけたんだからさ」

そう言って友達は自信満々で話し出した。

「まずスーパーに行ってポテチとお茶を買ったんだよ。その後に美術館に行って競馬博物館に行ってからふちゅう駅に行って……」

「おい、待てお前府中に行ったのか？」

「え？　うん」

呆れた。宇宙旅行かと思ったらただ府中市に行っただけだったとは。俺は呆れて帰ることにした。

「あ、待てよ！」

彼は慌てて呼び止めていたが俺は気にせず帰ることにした。

そうして一人その場に残った彼は呟いた。

「その後羽田空港に行って飛行機で移動した後に宇宙船に乗って、宇宙から見た地球がとても綺麗だった話とかもしたかったのに……。これじゃあ俺がただ府中市に遊びに行っただけの人みたいに思われるじゃないか……」

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