第116話
公園に到着すると沙夜が早速かけっこをしたいとせがんできたのですることになった。
「じゃあ、二人とも準備はいい?」
「いいわよ」
「いいよ~」
翼の合図でスタートを切った。
もちろん勝ったのは私。子供相手でも私は手を抜かない。
「ママ早い~」
「沙夜ちゃんも早いね~」
「もうちょっと手を抜いてやれよ」
私が全力で走ったのを見て翼がそう言ってきた。
「いいのよ。子供のうちは負けず嫌いなくらいがいいんだから」
「その理由はよく分からんけど、沙夜は負けず嫌いみたいだぞ」
翼がそう言うと沙夜が頬を膨らませて、「ママ!もう一回!」と言った。
「いいわよ。何度でもかかってらっしゃい!」
「絶対に勝つもん!」
そのあと何回がかけっこをしたが全部私が勝った。
沙夜は頬を膨らませてふてていたが、やがて眠くなったらしく、翼の背中でうとうとしていた。
「沙夜ちゃん、眠たかったら寝ていいわよ」
「んー」
すでに半分寝ていそうな返事が返ってきた。
それからすぐに沙夜は眠ってしまった。
「寝ちゃったね」
「そうだな」
「ほんと、子供は大ききくなるのが早いね」
「だな。ついこの前まで赤ちゃんだったのにな」
「ねー。もう、五年も経つんだね。お店を初めて」
「沙夜が一歳の時だもんな」
「そりゃあ、私たちも歳をとるわけだ」
私も翼も、あと二年もすれば三十歳だ。そして、今年は私と翼が出会って十年目ということになる。
もう、そんなになるのか。結局、翼とはこれといった大きな喧嘩をすることなくここまでやってこれた。
二十二歳で沙夜を授かって、二十三歳で『夜』を開業。順風満帆すぎる人生を私たちは送っていた。幸せだった。この幸せを人生最後まで続ける自信が私にはあった。
「今年で十年になるな」
「だね。私も今、そのこと思ってた」
「高校生時代が懐かしいよ」
「懐かしいね」
「あの頃は陽彩にいろんなスイーツをあげたなー」
「そのおかげで優勝できたんじゃないのかね?」
「その通りです」
翼は大学一年で夢だと言っていた蓮夜さんが優勝した大会で優勝をした。
その試作を私はすべて食べていた。そして、私がこれがいいと言ったやつで翼は優勝をした。実はそのスイーツはマドレーヌだったりする。私たちを繋いだ初めのスイーツ。もちろん、お店でも出している。
「ほんとに陽彩と出会ってからいろんなことがあったな」
「十年も一緒にいるからね」
「これからもよろしくな」
「もちろん!」
私たちは大学生時代から同棲しているマンションに戻っていった。
【感謝!!14万PV突破〜✨】美少女にスイーツをあげたら、ねだられるようになってしまった!?(仮) 夜空 星龍 @kugaryuu
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