第110話 有川七海の日常⑩

 菜々花畑を堪能した私たちは近くのファミレスで昼食を食べると、電車に乗って最寄り駅まで帰ってきていた。


「今日はありがとうございました」

「楽しんでくれていたみたいでよかったです」

「はい。すごく楽しかったですよ」

「それはよかった」


 本当に楽しかった。

 霧也さんと一緒にカメラを向け合ったり、撮ってもらったり、本当に楽しい時間を過ごすことができた。


「あの、よかったら、また一緒に写真を・・・・・」

「ええ、もちろんです」


 霧也さんは優しく微笑んだ。

 

「今日撮った写真は後でお送りしますね」

「ありがとうございます」

「今日はいい写真がたくさん撮れました。被写体がよかったからですかね」

「そ、そんなこと、ないですよ。霧也さんの腕がいいだけですよ」


 霧也さんに褒められて嬉しくなって、声が上擦ってしまった。恥ずかしい。

 

「また、一緒に写真を撮りましょうね」

「はい! よろしくお願いします!」


 私と霧也さんの家は反対方向なので駅で別れることとなった。

 家に帰ると私は今日撮った写真を見返していた。


「ほんと、どれもいい写真だな〜。これなんて、最高」


 私が見ていたのは菜の花畑を背景に霧也さんの笑顔を写した写真だった。

 この笑顔を写真に収めることができてよかったと思った。楽しんでくれているのか不安だったけど、この一枚を見るとそれが杞憂だってことが証明される。

 

「ほんとに楽しかったな~」


 次の機会の約束もできたし。今日はいい一日だったな。

 スマホに霧也さんの写真が送られてきた。

 その枚数は十枚だった。霧也さんがいい写真を厳選してくれたのだろう。

 

「うわぁ~。恥ずかしい」


 その中にはもちろん私が写っている写真もあった。

 私、こんな顔してたんだ。霧也さんの撮った写真に写っていた私は幸せそうな顔をしていた。

 撮る人が撮るととこんなにも変わるんだな。写真の中に写っている私は別人に見えた。 


「ほんとにすごいな~。そうだ、あの写真送ってあげようっと」


 私はスマホで撮った霧也さんとのツーショット写真を送ってあげた。

 これからたくさん撮れるといいな。霧也さんとのツーショット写真。

 

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ここまで読んでいただきありがとうございます! 


 次回から本編始まります😏

 もしかしたら、ラブコメとは少し外れるかもしれないですけど、ラブコメ要素も入れる予定なので読んでくれると嬉しいです!

 

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