第98話

 翌日、陽彩と約束していた通り俺たちは家具屋さんにやってきていた。

 もちろん、家にある家具を持っていけるはずもなく、すべて一から揃えることになりそうだった。

 

「冷蔵庫に炊飯器に洗濯機に、新生活ってほんとにいろんなものがいるよね」

「だな、いっぺんに買うと結構なお金がかかるな」

「だね~。どうしよっか」

「まぁ、一応お金はもらってるけど、迷うな」

「ほんと翼のお父さん太っ腹だよね。家具代出してくれるなんて」

「本人たちは貯蓄家だし、毎日のようにお店を開けてるから使うところがないんだろうな」

「なんか、すごく申し訳ないよ」

「そう思うなら、手伝いを頑張ってやってくれ」

「それはもちろんなんだけどさ~。ちゃんと翼のご両親にも恩返しするからね」

 

 そう言いながらも陽彩は家具を選ぶのが楽しいらしく、次から次へといろんな家具のところへと足を運んでいた。

 予想通りというべきか、やっぱり陽彩は赤色の家具を中心に見て回っていた。


「この食器棚かわいい~」

「赤色の食器棚か。かっこいいな」

「だよね! これにしてもいい?」

「いいよ」

「ありがとっ!」


 陽彩は子供のようにはしゃいでいた。

 ほんとに赤色が大好きなんだな。そんな様子を見て俺はそう思った。


「次は何を見に行く?」

「う~ん。やっぱりベッドでしょ!」

「了解。ベッドも赤色にするのか?」

「それは、さすがにじゃない。普通に白色のやつにするよ。てか、赤色のベッドとかなさそう」

「それも、そうか」


 ベッドコーナーに向かうと陽彩はダブルサイズのベッドのところに向かった。本当に、一緒に寝るつもりなんだな。

 温泉の時のようなことが毎日のように起きるのかと考えると、寝不足にならないかと心配だった。が、陽彩のあんなに楽しそうな顔を見てると、心配なんて飛んでいってしまった。


「翼は、ふかふかと固めどっちがいい?」

「ふかふかの方がいいかな」

「じゃあ、ふかふかにしよう!」


 陽彩は手でいろんなベッドを押しながら柔らかさを確かめていた。

 そして、あるベッドのところで止まると、それに決めたのか満足そうな顔をしていた。


「これに決めた!」


 俺もそのベッドのところに向かい、手でベッドの硬さを確かめてみた。

 そのベッドは俺の要望通り、ふかふかなベッドだった。


「うん。いいんじゃないか」

「すみません~。これください」


 値段も意外とリーズナブルでいい買い物ができたなと思った。

 さっきの食器棚も色で選んだように見えるが、値段はそんなにしなかった。ちゃんとお金のことを考えて買っているらしい。そんな陽彩のことを見て、俺はいい奥さんになるなと思った。


「どうしたの?」

「いや、陽彩は買い物上手だなと思ってさ」

「そうかな~?」

「ああ」

「普段から安いものを買うようにしてるからかも」

「料理の材料を買うときに?」

「うん。それもあるけど、化粧品とかもあんまり高いのは買わないかな~」

「そうなのか」


 やっぱり、陽彩はいい奥さんになるな。

 俺たちはその後も必要な家具を見て回った。ほとんど陽彩が決めた。もちろん、俺も少しは意見出したぞ。

 結果、陽彩が選んだ家電の合計金額は蓮夜からもらったお金の半分しか使わなかった。

 もともと、このお金は蓮夜からもらったものなので、返さなくてもいいと言われている。帰りに少しだけ豪華なご飯を食べて残りは貯金しておくとするか。

 なんだかんだ、俺も貯蓄家なんだなと思うのであった。


「陽彩。帰りに美味しいご飯でも食べて帰るか?」

「え、ほんと!?」

「ああ、陽彩のおかげでお金がかなり余ったからな」

「そうなんだ。じゃあ、早く行こ!」


 陽彩に手を引っ張られるままに俺たちは家電屋を後にした。

 今日買った家具は後日、家に届くらしい。

 

 


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