第97話
家の場所が決まり後は荷物を運ぶだけとなっていた。
結局俺たちが選んだのは、最寄駅から徒歩十分のところにあるに十階建てのマンションだった。
部屋は2LDKと大学生には広すぎると思ったが、陽彩と俺のどっちもがこの家がいいと即決だったのでそこに決まった。
二人が出していた条件にもすべて当てはまっている家だった。
綺麗だし、トイレもお風呂も別だし、駅から近い。
家賃のことは聞かないでくれ。俺と陽彩の親が半分づつ出してくれるということになっている。陽彩の分も俺の親が出すと言っていたが、あの親(彩)がそれを許すわけがなかった。
申し訳ないと思ったが、その分『蓮』の手伝いを頑張れということで押し切られてしまった。もちろん、言われなくても家賃分以上頑張るつもりでいた。
ちなみに『蓮』との距離は徒歩二十分くらいだった。
「親に感謝しないとな」
「だね。ちゃんと恩返ししなきゃ」
「そうだな。何なら、サプライズでもするか?」
「いいね、それ! 母の日とかにしたいね!」
陽彩が指を鳴らすと名案だねといった感じで頷いた。
そういえば、母の日とか父の日に何かをあげるとかあんまりしたことがなかったな。子供の頃は絵とか描いてあげてたっけ。懐かしいな。
「陽彩は母の日とか大事にしてたのか?」
「どうだろう。一応毎年お花はあげてるけど……」
「そっか。すごいな」
「翼は?」
「俺は恥ずかしくてあんまりやってこなかったな」
「男の人はそうかもね」
「本当はしないといけないんだろうけどな、どうしても……」
「いいんじゃない。これからやっていけば。まだ時間はあるんだし。少しずつ返していいと思うよ」
「そうだな。そうするよ」
ここまで育ててくれた朝美と蓮夜にどんなことをしたら恩返しをしたことになるのだろうか。
今の俺があるのは言わずもがな二人のおかげだ。蓮夜からはスイーツを学び、朝美からは愛情を学んだ?と思う。今の俺なんかが返せるものは少ないかもしれないけど、陽彩の言うように少しずつ返していこうと思う。
「でさ、明日、家具見に行こうよ」
「そうだな。見に行くか」
「今日はどうする? この家に泊まってく?」
「さすがにフローリングの上で寝るのは嫌だな」
「だよね~。体痛くなりそう。ということで、一緒に寝るのはベッドが来てからのお楽しみってことで」
陽彩は俺に向かってウインクをした。
そう言われて、あの時のことが頭の中に蘇った。陽彩はあの時のことを覚えているだろうか。
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