【第十一話】ティアル・サーライト ⑨
「カッカッカッカッ。何だァ?図星をつかれて怒っちまったのかァ?こんな効きもしねぇ攻撃まで放って……。よっぽど堪えたと見えるなァ……」
槍は確かに直撃して、ティアルの顔面で爆発した。
だが、
やはり効いてない。
ほぼ感情に任せて放っただけで、さっきと同じことが起きただけだった。
スパイルは歯をグッと噛み締める。
効かなくても何でも、もう我慢できない。
抑え切れないーー。
「ティアル……。お前は殺す!!殺す殺す殺すッ!!」
殺意が止まることなく湧き上がり、獣のような獰猛さが顔を出す。
血が熱く滾り、身体中から戦いのエネルギーが放出される。
お喋りで中断されていたが、再開の時だ。
スパイルは両腕を横に広げる。
ティアルはそれを見て、「カカッ」と笑った。
さっきとは違って楽しそうに殺気を撒き散らし、手をゴキリゴキリと拳に変貌させる。
スパイルもまた怒りに身を任せ、強烈な殺意を辺りに振り撒いた。
「一発の槍じゃ効かねぇってんなら……ッ!!効かねぇってんならなァ……ッ!!」
湧き上がる感情ーー。
上昇する熱気ーー。
スパイルは2つの五指を大きく開くと、合計10の長爪を横に構えた。
そして、
その先に数多の炎の槍を作り出す。
そう、
一発でダメなら……
「効くまで撃ち込み続けるだけだッ!!」
スパイルは腕を前に振り、横に展開した槍を全て放った。
数え切れないほどの炎の槍が全てティアルに向かい、着弾を繰り返す。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾ーー……。
スパイルはどんどん放った。
どんどんどんどん撃ち込み続けた。
この憤りを吐き出すかのようにーー。
どうしようもない事実から逃避するかのようにーー。
次から次へと撃って撃って撃ちまくった。
何度も何十度も炎の槍を作り出し、全てを放って、全てを着弾させた。
もう何百になるのか分からない。
1,000もいったかもしれない。
当たった感触は確かにある。
幾度となく爆発を繰り返している。
だが、
ティアルが倒れた感触はない。
数多の爆発が続く中、ティアルの体はどんどん燃えてどんどん煙を撒き散らして、周りにはどんどんどんどん被害が広がり続けているのに、手答えが無さすぎる。
こんなこと、あり得る訳がない。
あり得ていいはずがない。
だから……
「あ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾ーー……ッ!!
繰り返した。
何度だって繰り返し続けた。
当たってはいるのだ。
目にも見えている。
この炎で何千と人を殺してきた。
何万と地獄を見せてきた。
だが、
しかし、
でも……
「そろそろ鬱陶しいぞォォオオオオオ!!」
煙がモクモクと辺りを覆い尽くし、炎がゴウゴウと燃え盛る中、
その中から無傷のティアルが飛び出してきた。
あれだけ着弾と爆発を繰り返したというのに、何のダメージも見受けられなかった。
ティアルは拳を振りかぶり、スパイルに向かってまっすぐ跳んできている。
スパイルは攻撃に集中しすぎて回避が間に合わなかった。
煙で見えなかったというのもある。
ティアルの放った拳はスパイルの体に直撃し、スパイルは後ろに跳ね飛ばされた。
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