【第ニ章】ミッドカオス
【第五話】シェル・ローズ ①
あれから、10年の月日が流れた。
この10年間であれだけいた国々は大国へと統合を繰り返し、今では3つの国に分かれるまでに至った。
それらは『三大国』と呼ばれ、それぞれが『ミッドカオス』、『ディオラス』、『メルセデス』という国に落ち着いた。
『ミッドカオス』は言わずもがな領土・人口ともに最大・最多の国で、帝国主義を歩む正に王道の国だ。
日本国を倒したことで一躍世界に名を轟かせ、雷を操る国として世間に名を知らしめた。
2つ目は『ディオラス』。
ミッドカオスと比べれば領土・人口ともに普通の国だが、『ルドルフ』という凄まじい力を持つ王を要した戦力重視の国だった。
兵はほとんどが一騎当千の猛者で、兵それぞれが高い戦闘力を持つことで有名な国だ。
『実力主義』をこれでもかというくらいに押したて、純粋な戦闘力を底上げしている。
王である『ルドルフ』を筆頭に、強い者だけが生き残る『弱肉強食』の国だった。
そして、
3つ目は『メルセデス』。
領土も人口も最小だが、あの戦国時代をいつのまにか生き延びていた国だ。
三大国の中では一番謎の多い国でもある。
王の名は『メルキア』……というくらいは分かっているが、彼らは三谷以上に居場所を特定できず、戦いになればほとんど負けることがなかったーー。
噂では『魔法使い』が多く在籍しているとの話だが、居場所を特定できない以上、その真偽も特定できない。
もはや国そのものの存在が疑わしくもあるような、世界で最も得体の知れない国だった。
ーー世界はこの3つの国に落ち着き、今は一時の冷戦状態にある状況だった。
どこか1つでも戦争が起これば瞬く間に他国が攻め入り、予断は許されない状況にあるということだ。
そして、
物語は改めて、
この『ミッドカオス』から始まる。
『バルキー・ローズ』という不敗の王を有するこの『ミッドカオス』では、今現在、混乱の只中にある状況だった。
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