第130話
あんなにラインを送ってくるので、少しドキドキしていたが、ママは何も聞かなかった。
(きっと、自分のように、私にも勇気を出してほしいと思って、励ましてくれてるんだろうな……)
「あのね、ママ……」
「なあに?」
コンコンとノックの音がして、古城が入ってきた。
「お体の調子はいかがですか?」
「とても良いです!」
「良かったです。明日は朝から手術を控えてますから、今日はもう帰らせて頂きます」
「古城さん。花音の事、宜しくお願い致します」
母は、頭を下げてお礼を言った。
「はい」
古城は、はにかみながら笑った。
帰りの車の中で、古城が、
「手術を控えて、体力が心配だったけど、思ったより回復されてるみたいだね」
「はい。
手術後はリハビリ次第で歩けるようになるかも知れないんですって!
本当に有り難うございます」
花音は少し興奮して、さっき母から聞いた手術後の事を嬉しそうに古城に報告した。
「それは良かった! お母さん、食欲も出て来たし医師の言い付けを守って、頑張っておられるから、手術はきっと成功するよ!」
「はい。でも、古城さんがいなかったら、こんな奇跡は起きませんでした。本当に有難うございます」
花音の目には涙がにじんでいた。
古城は、そんな花音を見て、優しく微笑んだ。
「今日は早く帰って寝よう。明日は朝8時にお母さんの所に行く事にしよう」
「はい!」
(明日の手術は成功する。そして、ママは元気になるわ)
明日、母の手術を控えているというのに、花音の心はとても穏やかだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます