第113話

教授は、食堂の横の休憩室の扉を開けた。


「アンディ先生の手術に参加できて光栄です。お話伺ったときは興奮しました」


「みんな、急な話にもかかわらず、応じて下さって有難うございます」


今回、来日して手術することになった経緯を話した。

そして、慣れない日本で難度の高い手術に不安もあったが、医療チームのメンバーが万全に準備してくれたことで、不安は吹き飛んだと感謝した。


最後に花音を紹介して、「よろしく」と、締め括った。


みんなはアンディの言葉を拍手で答えた。


古城は良い雰囲気の中で、花音を医療チームと引き合わせる事が出来て良かったと思っていた。


「香川教授、そして医療チームの皆さま。有り難うございます。この場をお借りして深くお礼申し上げます」


そう言って、古城は深く頭を下げた。


「母の為に本当に有り難うございます」


花音も、古城に倣って深々と頭を下げた。チームのみんなも頭を下げてくれた。


花音は、母の為に頑張ってくれているチームの人達に会えて安心したせいか、心が穏やかになって行くのを感じた。


「香川教授、先程、伊藤夫人の病室に伺ったのですが、顔色も良くとてもお元気そうに見えました」


「そうでしょう。手術前というのは結構心配で、心が重くなるものなのですが、日に日にお元気になられて、ちょっと、病室を覗くとお話が長くなって困っているのですよ」


香川教授は、古城の顔を見て、嬉しそうに笑った。

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